株式相場の格言集
ほか、「戌亥(いぬい)で仕込み、辰巳(たつみ)で売る」という格言もあり「亥年は例年株価が安いため、ここで買い注文を入れ、株価が天井をつける辰年、巳年で売りを出せば良い」ことを表す(「干支と相場(上)「丑年はつまずき」の格言(5分間投資サロン)」『日本経済新聞』1997.1.7,夕刊,9面)。同内容で次のような表現もある。
・戌亥の借金、辰巳で返せ(田北浩章「『会社四季報』最新情報」『週刊東洋経済』第5998号(1月14日号),2006.1,p.124.)
・戌亥で買って、辰巳で売れば蔵が建つ(「96年ジンクスで占う(上)縁起のいい上昇の年(5分間投資サロン)」『日本経済新聞』1996.1.株式相場の格言集 4,夕刊,9面)
・戌亥買いの辰巳売り(「95年の干支は乙亥(まちかど)」『日本経済新聞』1994.12.31,朝刊,9面)
・戌亥の借金、辰巳で払え(「日経VBC交流会-青山商事社長青山五郎氏、NEC林裕氏。」『日経産業新聞』1993.7.27,30面)
格言の由来について、前出の和島による記事は「東京・兜町には古くから十二支にまつわる相場格言がある」と述べるにとどまっている。
なお、『十二支(えと)のことわざ事典』p.115「辰巳天井」の項目では「大阪の米相場師の間で、「辰巳天井」といって辰の日と巳の日には相場が高騰すると伝えられた」と説明されている。
同じ意味の「辰巳アガリ」、「辰巳上り」という格言が『日本証券史資料 戦前編第9巻』に収録された複数の図書に掲載されており、同書収録の『株と米の相場必勝辞典』p.403では「辰巳は『立つ身』に通じ、立身出世をするといふのに因み、これを相場にも応用して、辰巳の日には相場が上騰すると言ひ伝へられてゐる」と解説している。
・明治41年……栗原神通 (義秀)『相場格言集 相場師之六韜三略』(『日本証券史資料 戦前編第9巻』p.148/用語のみ)
・明治43年……二村喜十郎『相場の金言(相場師ノ虎ノ巻)』(『日本証券史資料 戦前編第9巻』p.156/用語のみ)
・大正6年……大蔵省主税局 株式相場の格言集 編『取引所用語字彙』(『日本証券史資料 戦前編第9巻』p.231/解説あり)
・大正14年……文雅堂編集部 編『株式期米生糸市場用語字彙』(『日本証券史資料 戦前編第9巻』p.299/解説あり)
・昭和4年……黒田鉄三 ほか著『株と米の相場必勝辞典』(『日本証券史資料 戦前編第9巻』p.403/解説あり)
和島英樹「干支と株「丑はつまずき」の波乱」『週刊エコノミスト』第86巻第69号(12月16日号),2008.12,p.38.
田北浩章「「会社四季報」最新情報」『週刊東洋経済』第5998号(1月14日号),2006.1,p.124.
加藤迪男 編『十二支(えと)のことわざ事典』 日本地域社会研究所,2010,321p. 参照はp.115.
日本証券経済研究所 編集『日本証券史資料 戦前編第9巻 相場道文献・格言及び用語・判例他 』 日本証券経済研究所,2013,35,株式相場の格言集 874p 図版16pp. 参照はp.148,156,231,299,403.
株式相場の格言集
株式投資においても、つい自分が買った株や買おうとしてる株の価格ばかりに目が行きがちですが、日経平均株価や同業種、競合会社の株価の動向、更には世界情勢や社会風潮などにも視野を広げ、相場全体を見ることが重要です。
また、目の前にある材料だけで判断して、直ぐに飛びついたら失敗します。
一歩下がって、その材料がどのような要因から起因しているのか考えることが大切です。少し離れることで、全体を見る余裕や売買のタイミングを計る余裕が生まれます。
逆に、「森を見て木を見ず」(市場の雰囲気に押されて、銘柄をよく見極めずに売買してしまうこと) という格言もあります。参考にしてください。
相場の器用貧乏
備えあれば迷いなし
相場格言の「備えあれば迷いなし」も、この諺に似ていますが、少し意図するところが違います。
一つには、投資を行う際には事前に研究や準備を抜かりなく行い、確固たる自信を持って取り引きに向かうことが大切であるという教え。
もう一つは、まさかの時にも動じない資力を蓄えておく必要性も説いている格言。
ただし、時間が経って情勢が変わっているのにもかかわらず、“迷いは禁物”と考えるのは明らかに過ちです。
また、事前に幾ら熱心に研究したとしても、正解が導き出せたとは限りません。
自分の考えに間違いがあると気付いた時には、素直に過ちを認め、素早いポジション変更が必要です。
遠くのものは避けよ
人気化した銘柄は、新聞や雑誌、アナリストレポートといった類で、連日のように推奨する記事が掲載されます。やれ「ゲノム」だ「バイオ」だと言われると、つい「なんか凄そうだなー」と思ってしまいがちですが、日頃から馴染みがない分野のことは、やはりよく分かりません。
馴染みのない銘柄に手を出すときには、より念入りに調べることが大事で、リスクも覚悟しなければいけません。
同じ意味の格言に、「知ってるものだけ買え」 という訓もあります。
人の行く裏に道あり花の山
似たような格言に、「総悲観は買い・総楽観は売り」 という訓もあります。参考にしてください。
(2)相場の法則
朝のこない夜は無い、夜明け前が一番暗い
「夜明け前が一番暗い」という喩は、確かに“セリング・クライマックス(selling climax)”という相場の急落現象にも当てはまる表現です。ただし、“備えあれば”(資金面に余裕があれば)、こうしたポジティブな考え方もできますが、なかなかこうは考えられないものです。
しかし、あまりポジティブに構え過ぎるのも問題です。自分が“夜明け前”だと思っていたら、実はまだ“宵の口”だったなんてこともあり得ます。
「もうはまだなり まだはもうなり」という格言もあり、過信は禁物です。
行き過ぎもまた相場
山高ければ谷深し/谷深ければ山高し
「山高ければ谷深し」 という格言も、ほぼ同じような意味で使われています。
また他にも似たような格言に、「株価はもとの古巣に帰る」 とか、「株価の里帰り」 という訓もあります。
一時人気化して大きく値上がりした株も、その熱が冷めれば結局元の水準にまで値を戻し、逆に下落した株も何れかは浮上に転ずるという、長期投資の勧めを意図した格言です。
買いにくい相場は高い/買いやすい相場は安い
同じような意味を持った格言として、「売りやすい相場は高い、売りにくい相場は安い」とか、「割り高に売りなし、割り安に買いなし」などがあります。
閑散に売りなし
逆日歩に買いなし/逆日歩に売りなし
これとは反対の意味で、「逆日歩に売りなし」 という格言もあります。買い方より売り方が多い状態が高まるほど逆日歩は高騰し、たまらなくなった売り方は高値でも買い戻さざるを得なくなり、踏み上げ相場となって株価が高騰することがあるからです。
しかし一般的には、踏み上げ相場で高騰した株価も、逆日歩が解消されたとたんに本来の売り圧力が高まり、急落することが相場の道理です。
「逆日歩に売りなし」より、「逆日歩に買いなし」とよく言われる所以です。
相場は相場に聞け
天井三日、底百日(天井三日、底三年)
相場の典型的な動きを表した格言。
一般的な株価の動きとは、なだらかな山の稜線を登るようにゆっくり上昇し、最後は急傾斜の山頂に登りつめたと思った途端に一気に急坂を下り、再び次の上昇に転じるまでの長い期間、底値付近で持ち合い状態を続けることとなります。
この値動きを感覚的に捉えたのが、「天井三日、底百日」あるいは「天井三日、底三年」ということです。
短期の売買をする人は、この短いサイクルの期間で勝負を挑まなければなりません。
「小回り三月、大回り三年」(短期では三か月、長期では三年を目途に相場のサイクルを捉える)という格言もあります。参考にしてください。
(3)売買のコツ
頭と尻尾はくれてやれ
“欲張りすぎるな!”株式相場の格言集 とする戒めの格言の一つで、「売り買いは腹八分」とほぼ同義です。
「頭」とはすなわち株価の天井(最高値)、「尻尾」とは底(最安値)のことで、欲をかいて相場の天底と底を狙うようなことは考えず、腹八分目にしておきなさいという教えです。
売り買いは腹八分
前者は、あまり欲をかかずにここが八分目と思うタイミングで売買した方が間違いなく利益が確保できる、欲をかきすぎると虻蜂取らずとなって売買の機を逸してしまいかねない、という教えです。
株価が値上がりした時に、まだ上がるかも、まだ上がるかも・・・と欲を出していると、売り時を逃してしまうことがあります。逆に、もう底だろうと思って買うと、まだ下がり続けるという場合もあります。つまり、「もうはまだなり まだはもうなり」 という格言にも通じています。
他にも、「バラを切るごとく売るべし」(苦心して育てたバラを八分咲きで切るのは惜しいが、満開になってから切って人にあげても誰も喜んでくれない、株を売るのも同様) という格言もあります。
また後者は、無理な投資は失敗のもと、全財産がと切迫した気持ちで売買していては損が損を呼ぶことにもつながりかねません。株式投資はあくまで余裕資金で行うべき、という教えです。
ウォール街には、「強気でも弱気でも儲けられるが、欲張りはダメ」 という格言があるそうです。
売りは早かれ、買いは遅かれ基本
「天井三日、底百日」という格言があるように、買い場は長く続くことが多いですが、売り時は限られるものです。
売りたいと思っても、そこは“売りたい強気”、ついもう少し上がるのではないかと欲張ってしまい売り時を逸してしまいがちです。「利食い千人力」という格言もあるように、「売り買いは腹八分」で満足して、利益を確定することが先決です。売った後でもまだ上がると判断すれば、また買えばよいのですから。
買い二分に売り八分
「売りは早かれ、買いは遅かれ」という格言もあるように、買いのタイミングは少々間違えても、売りのタイミングさえ間違えなければ、利益を上げることができます。
また、たとえ損失が出てしまったとしても、そこは「見切り千両」。売りの機を逸することなく最小限の損で食い止めることが重要です。
株を買うより時を買え(銘柄を買うな、時を買え)
例えば季節変化とか、あるいは地政学的な変化(戦争や天災等)など、大きな時間軸に従って注目される業界というものがあります。その業界の中でA社かB社かと悩むより、売買のタイミングを間違えないことの方が、より重要です。
「麦ワラ帽は冬に買え」、「天災は買い向かえ」、「突発事件は売るな」 といった格言もあります。参考にしてください。
ウォール街には、「株を選ぶ前に時を選べ」 という格言があるそうです。
相場は明日もある
ウォール街には、「売り買いは三日待て」 という格言があるそうです。
売るべし 買うべし 休むべし(休むも相場)
ひっきりなしに売買ばかりを繰り返していると、そこは「木を見て森を見ず」、相場全体の動きを見失って、大きな落とし穴にはまることがあります。
相場が判断の難しい局面にあったり、損を出したりした時には、一歩退いて(売買を休んで)、冷静に研究や分析、反省をして出直すことが大切である、という教えの格言です。
「休むも相場」、「売り買い休みの三筋道」 という格言も、同じ意味の訓です。
利食い千人力基本/見切り千両
利益が乗っているとつい欲張って、もう少し上がるかもと思っているうちに売り時を逃して儲け損なうことを戒め、そこは「売り買いは腹八分」、ある程度のところで儲けを確定させるのが賢明だという教えです。
「売りは早かれ、買いは遅かれ」という格言もあります。
この正反対の訓として、「見切り千両」 という格言があります。
含み損の状態にある株は、反転を期待して保有し続けるのでなく、できるだけ早々に売って損切りすべきだ、という意味です。
保有する株の値が下がり出すと、人は売ろうかどうしようか迷いますが、多くの場合、株価が戻ることを期待してそのまま持ち続けてしまいがちです。しかし株価はなお下げて、ついには底値に近いところで投げ売る羽目に陥るのが常です。
少しの損で収まるなら、さっさと売った方が、持ち続けて大損するより、“千両の価値がある”ということです。
この訓ほど、実践が難しい格言はありません。なので似たような格言として、「損切りはすばやく」、「引かれ玉は投げよ」、「迷いが出たら売れ」 など、数多くの訓があります。 ウォール街には、「損は落とせ、さらば利益は大ならん」 という格言があるそうです。
(4)売買のタイミング
押し目待ちに押し目なし/戻り待ちに戻りなし 株式相場の格言集
人気が出て上昇中の株を買おうと思うが、このまま一本調子で上がることはないだろう、どこか一旦下げたところ(押し目、押目)で買おうと思っていると、結局「押し目待ちに押し目なし」(「押目待ちの押目なし」とも)となり、買いのタイミングを逸したり、相当高くなってから買う羽目になったりする、という教えです。
“押し目待ち”の反対に、「戻り待ちに戻りなし」 という格言もあります。
言わんとしている教えは、「押し目待ちに押し目なし」と同じことです。
売り損なって下げ相場に転じた時に、少しでも高く売りたいと欲張って値が戻るのを待ったりすると、その期待とは裏腹に相場は下がりつづけ、結局売ることができずに損含みのまま持ち続けることになったり、最悪なのは底値で投げ売って大損を出す羽目になりがちです。
一般的に、株価が上昇している時は、参加者も増えて出来高も大きくなります。それが一転して下げ始めると、大勢の高値で買った投資家が大量の含み損を抱えることになり、下げれば下げるほど売り圧力が強くなって、結局「行き過ぎもまた相場」と言われる水準まで下げ続けることになります。
なお、“押し目”と“戻り”については、「初押しは買い 初戻りは売り」(経験則的に、上げ相場で初めて押し目の場面があったら買ってもいい、反対に下げ相場で初めて戻す場面があったら売ってもいい) という格言もあります。
三割高下に向かえ
時に投資家は「売りたい強気」で、利益が上がれば上がるほど、まだ上がるかもと売りの判断ができなくなります。逆に、下げ相場では「買いたい弱気」で、なかなか買いを出せません。
そこで、「3割上がったら利食う」、「3割下がったら買う」、と予め自分の中でルールを定めておくと、迷いがなく投資判断ができるというメリットもあります。
紀伊國屋書店
まえがきにかえて
PART1 今すぐ覚えたい10の教訓
1―銘柄を買うな、時を買え▼大切なのはタイミングである
2―木を見て森を見ず▼目先だけでなく、大局を見よう
3―買い二分に売り八分▼売り時にポイントを置こう
4―二兎を追うもの一兎をも得ず▼美味しい話には要注意
5―相場は明日もある▼飛びつき買いはケガのもと
6―値上がり株より商いの出来る株を買え▼出来高に重きを置こう
7―株は売り放すまで利益を得たとは言えない▼評価益だけに満足するな 株式相場の格言集
8―漁師は潮を見る▼相場の流れをおさえよう
9―他人を頼るべからず、自力を頼むべし▼情報だけに満足するな
10―人の商い、うらやむべからず▼自分のスタンスなくして、成功なし
PART2 銘柄選び10の教訓
11―お供物倒れの現物株信仰▼リスクのない投資なし
12―銘柄貧乏▼信念のない買いはやめよ
13―目先筋で大成する人間はいない▼超短期投資はここをおさえよ
14―遠くのものは避けよ▼身近な銘柄を買ってみよう
15―優良株神話を捨てよ▼みすみす宝を逃がさないために
16―ドタバタは避けよ▼推奨情報にだまされるな
17―材料に投資せず、需給に投資せ企業の将来を映す鏡▼大局を予測してみよう
PART4 売り時を逃がさない10の教訓
31―一文惜しみは天底逃がし▼売り損ないとは何か
32―相場の極致は手仕舞いにあり▼売り上手は儲け上手
33―利食いは腹八分▼最大の敵は欲である
34―大衆は常に天井を買い、底値を売る▼高値圏で本当にすべきこと
35―カネは手のひらに乗って、それを握るまではアテにするな▼絵に描いた餅で終わらせないために
36―売り損ないの後悔は苦痛▼笑ってすます失敗と泣くに泣けない失敗
37―出直り相場に逆らうな▼売ってはいけない場合
38―損する忍耐より儲ける忍耐▼手元に残す株、放す株
39―傍目八目▼外野席に頭を置こう
40―迷わば売れ▼儲けを確定させることが大切だ
PART5 落とし穴にはまらない10の教訓
41―バラを切るごとく売るべし▼天井にこだわるな
42―利食い千人力▼相場を冷静に見極めるために
43―爪を伸ばしすぎて大けがをする▼水の泡とならないために
44―魚の頭と尾はくれてやれ▼一人勝ちをしようと思うな
45―辛抱する木に金がなる▼中長期相場で忘れてはいけないこと
46―高値おぼえ、安値おぼえは損のもと▼希望的観測に良の予言者は過去なり▼情報氾濫の時代だからこそ 株式相場の格言集
59―相場に王道なし▼あなたのスタイルを身につけよう
60―自信ある自己流は確信なき正統派に勝る▼敵は己れの中にあり
PART7 株式相場を読み解く10の教訓
61―石が浮かんで、木の葉が沈む▼柔軟な発想を身につけよう
62―一割三割▼需給と株価のシビアな関係
63―山、高ければ谷深し 谷、深ければ山高し▼上昇エネルギーと下降エネルギー
64―天井三日、底一〇〇日▼機関投資家に学べ
65―小回り三月、大回り三年▼長期的な視点に立ってみよう
66―万人があきれ果てた値が高下の界なり▼大天井と大底のメカニズム
67―天井知らず、底知らず▼惜しむな一円
68―もうはまだなり、まだはもうなり▼願望は予測にあらず
69―今日の高値は明日の安値、今日の安値は明日の高値▼乗る場面と向かう場面
70―買いにくい相場は高く、買いやすい相場は安い▼たとえ弱気一色の局面でも……
PART8 運用上手になる10の教訓
71―卵は一つのカゴに盛るな▼分散投資のすすめ
72―強弱よりも運用を学べ▼明日の株価より大切なものがある
73―年の内、三度より商い場なし▼眠れる獅子を心がけよう
意外と使える!?相場の格言① 株式相場の格言集 利益を確定する経験を積んでみよう
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【 相場格言集 】 Apex product
例えば 「買いたい弱気」 。上げ相場のさなか、本心では買いたいと思っていながら、少しは下がって安いところで買えそうな気がしてくる。それが高じて、どうしても相場が下がってほしい、いや下がるのだという希望的観測にとらわれて“ニワカ弱気”となり、ついには逆目の売りに手を出してしまう。 「売りたい強気」 はその反対である。つまり、自分の都合で立てた仮説が、いつか自分をがんじがらめに縛り上げるようなものだ。
この希望的観測を生むいわば元凶が 「高値おぼえ 安値おぼえ」 。ひとたび経験した値段を忘れかね、いつまでも昔の夢に入りびたっていると、相場の転換期についていけなくなる。ところが株式の世界ほど、昔話を語りたがる人の多いところはない。「あのときA株は何円で――」というたぐいだ。 それが単なるお話から、現実の世界へ置き換えられる。「こんな安値があったのだから、今の株価では買えない」という結論をもたらし、大きな転換期をつかみそこなう元となる。
ウオール街の格言でも 「相場に過去はない」 といい、前向きの姿勢が大切であることを説いている。
【 相場の器用貧乏 】
相場の器用貧乏を戒める格言には 「名人になるより素人らしく」「名人は相場の怖さを知る」「早耳の早耳だおれ」「目先観で相場を張るな」 等があり、ウオール街にも 「筋の耳うちは信用するな」「必ずしも市場にいる必要はない」 という言葉がある。
【 当たり屋につけ 】
そこで第三者があれこれ思い迷うよりは、いっそ“当たり屋”と同じ売買をした方がよいと考え、これに便乗する。これが 「当たり屋につけ」 または 「当たり屋にチョウチン」 の意味である。当たり屋がいつまでも当たり屋である限り、この方法は手間ヒマかけずに利をつかむ便利なものといえる。 しかし世の中と同様、相場はそんなに単純なものではないし、甘いものでもない。“当たり屋”は、いつか“曲がり屋”(思惑のはずれた投資家)になる日を迎えなければならない。もちろん便乗組も同じ運命をたどるわけだ。そして、自らの決断で投資したものでないだけに、失敗したときの後悔はあと味も悪い。
一方、これと正反対の格言に 「曲がり屋に向かえ」 がある。当たり屋はともかく、曲がり屋というのは徹底してツイていないというか、やることなすことがハズレて、その逆はあまり望めない。しかも曲がり屋は、失敗すればするほど意地になって無茶な商いをする人が多い。いわば悪循環である。そこで、曲がり屋が買えば売り、売れば買うという具合いに反対売買をすれば利が得られるという理屈になる。実戦面でも、当たり屋につくよりも曲がり屋に向かう方が成功率は高いとされている。
【 遠くのものは避けよ 】
類似の格言に 「虫の好かぬ株は買うな」 というものもある。よく知らないという理由だけで「好きになれない」というのが人の常。知らないもの、不得手なもの、つまり虫の好かぬものは手を出さない方が無難というものだ。
【 備えあれば迷いなし 】
迷いの最たるものに指し値(値段を指定する注文)の取り消しがある。相場の動きにつれて自分の判断に対する自信が揺らぎだし、つい取り消してチャンスを失うというケースが多い。そこで 「指し値を取り消すな」 という格言が生まれる。 最初から綿密な調査と冷静な判断があれば、簡単に指し値を取り消すこともないが、一時的な思いつき等で仕掛たものは“根なし草”のようなもので、ちょっとした風で流されてしまうわけだ。むろん、指し値が的確かどうかは別の問題である。
一方、かなり相場に練達した人がやる方法に両建て(信用取引で売りと買いを同時にやること)がある。つまり、信念がぐらつきだして、売りなのか買いなのかが分からなくなり、例えば買い建て玉があるときにそれをそのままにしておいて新しく売り建てする。上げ下げをうまくつかんで、2つながらに利益を上げよう――と思うのは虫が良すぎる。だいたいが両建てになるケースは、高値で買い建てし安値で売り建てするのが多く、結局、両方とも損勘定になってしまうようだ。そこで 「両建て両損」 という戒めの言葉が出てくる。
この確信を持っていさえすれば、慌てなくとも済むという教えはウォール街にいくと 「ドタバタは避けよ」 という表現になる。
- 売り買いはいくさの備えも同じこと、米商いの軍兵(ぐんぴょう)は金。(三猿金泉秘録)
- 商い仕掛けたるとき、まず損銀をつもるべし。後悔を先へ慎むべし。(八木虎之巻)
- 商いに三つの慎みあり。第一油断、第二不巧(慎重を欠くこと)、第三不敵なり。油断よりおこりて利をとるべきときを忘れ、損を見切り逃げるときをはずし、利に乗じて米多く仕入るべきときを失い、不巧より仕掛けの商い覚悟なく、思い入れの立てようも人気に迷いて思慮浅く、あるいは臨機応変のかけひきにうとく、不敵よりおこりて大高下の節、俵数(取引量)を恐れず、はじめより身上不相応に米を仕込み、すこしのことにてその米こたえがたく(わずかの損勘定にもその建て玉を維持することができず)、利になるべきを損にて仕舞い、あるいは底値に付け込み天井にのせ、これらは勝ちいくさに長追いして伏勢にあたり、かえって敗北するに同じ。(商家秘録)
- 商いをせんと思う節、最初まず損銀のつもりをすべし。思い入れ違いたるところにて、これほどの損にて仕舞うと分別し、その上にても違うならば、誤りて(間違いとして)早く見切り仕舞うべし。最初に計りし損より多く損すべからず。(同)
- 商い致す節、何程の金高に売買致すべきと分限に応じ相定め申すべきことなり。(宗久翁秘録)
【 相場は相場に聞け 】
一見「人の行く裏に道あり 花の山」と矛盾するかのように思えるが、“人の行く……”は何がなんでも大勢に逆行しろといっているわけではない。仮に下げ相場であれば、何を見ても一斉に弱気を示しているようなとき、つまり夜明け前がいちばん暗いといわれるようなそういう時期を感じ取って、買いに回れといい、上げ相場なら過熱状態になったら売るべきだといっているものである。決して上げの途中、下げの最中で流れにさからえといってはいない。そういうときは、心静かに相場に耳を傾ける。「相場はどの方向に向かうのか」と、虚心に相場に問いかけてみるべきだろう。それが 「相場は相場に聞け」 の真意である。
【 買いにくい相場は高い 】
このへんの投資家心理をとらえた格言が「買いにくい相場は高い」であり、同じ意味から 「売りやすい相場は高い」「買いやすい相場は安い」「売りにくい相場は安い」 等という。そして 「割り高に売りなし、割り安に買いなし」 と、値ごろ感や単なる利回り採算だけで判定する誤りを戒めている。
- 売りがたきところが下がり、買いがたきところが上がると知るべし。(相庭高下伝)
【 行き過ぎもまた相場 】
したがって、どの指標を見ても、どう試算しても、これ以上株価が高くなるはずはないといってみたところで、現実に株価はこの予想を上回ってしまう。ちょうど、スピードを出して走ってきた自動車が、急ブレーキをかけてもすぐには止まれないようなものである。勢いがついているものは、結局、行きつくところまで行かなければおさまりがつかない。それも相場のうちであることと知っておくべきだというのが、この 「行き過ぎもまた相場」 という言葉である。同時に、行き過ぎがあれば、その分は反動を覚悟しなければならないことも教えている。
その意味から 「山高ければ谷深し」 という格言が同種のものとして見られるわけだ。つまり、高い相場があればその後にくる下げはそれだけ大きいといっている。さらに 「株価はもとの古巣に帰る」「株価の里帰り」 も同義の格言と見ていいだろう。どんどん値上がりしていった株価も、いつか下げ始め、結局、元の出発点まで戻ってくるという“株価の習性”を言い表した言葉だが、ある程度長期間にわたって見なければ当てはまらない。その反対に、ある高値から反落した株価が、いつかまたその水準に戻ってくる意味も併せ持っている。長期投資に徹すれば、株式投資は損をしないという論拠が、ここにあるわけだ。
【 閑散に売りなし 】
しかし、相場自体のすう勢として下げたものではなく、いわば人為的に売り叩いた結果としての下げだから、いったん売り物が一巡すると急激に反騰することが多い。前項の“動反動”ではないが、静止しているゴムまりをギュッと踏みつけたために弾みがついたようなものである。そこで長いもちあい期間を我慢していた投資家が一斉に買って出る。売り込んだ人も買い戻すということで、思わぬ上昇相場を現出させる。 「閑散に売りなし」 とは、そういう状況でうっかり売り込む愚を避けることを教えたものだ。
また 「大保合いは大相場」「保合い放れにつけ」 という格言もあるが、これまでの説明で理解していただけよう。ただ、もちあいになる時点は、前述のような底値圏ばかりではない。高値を付けた後でもちあい状態に移る場合もある。このときは前述の逆となる。つまり局面打開の目的で買いが入るが、無理に買い上げた反動で急落しかねない。
- 動かざるに至りて大高下のはしたるべし(もちあいは大騰落の端緒であろう)。(商家秘録)
- 相場二、三力月も持合う(保合う)ときは、十人が八、九人まで売り方に向くものなり。その後、きわめて上がるものなり。ただし、のぼりつめ百俵(百両につき百俵)上げくらいにて持合う米は、下げ相場と心得べし。(宗久翁秘録)
- 相場持合いのとき、うっかり慰みに商い仕掛けることあり。はなはだよろしからず。慎むべきなり。この商い強いて初念の思い入れを離れがたきものなり(先入感を捨て去ることが難しい)。よほど玄人ならで見切りできざるものなり。たとえば、百両売り付け候て少々上がるとき、最初踏み出しの百両分に念を残して(未練があって)買うことを忘れ、またまた売り重なる心になるなり。だんだん上がるときは、ここにて売りならす(売り値の平均を引き上げる)べしと売り込むゆえ、自然、金高なりかさみ、後々は売り返しも自由ならず、大事に及ぶなり。(同)
【 逆日歩に買いなし 】
とすると「逆日歩は買い」ともいえそうだ。事実、 「逆日歩に売りなし」 という格言もあり、目先的には決して間違いとはいえないが、少し長い目で見た場合は、やはり 「逆日歩に買いなし」 と見るべきだろう。つまり、買い方が売り方を締めつけることが、相場本来の流れにさからう動きと見れば、その反動は必至というわけである。
【 天井三日 底百日 】
相場の推移の典型とは、ちょうどなだらかな山の稜線を描くように、ゆっくり上昇していき、突如として急勾配を登りつめたと思ったとたん、急坂を一気に下り、再び次の上昇を始めるまで長い期間にわたって横ばいを続ける。その感じを、仮に日数で表現するとすれば 「天井三日、底百日」 または 「天井三日、底三年」 ということになる。
その期間の一応のめどを、格言では 「小回り三月、大回り三年」 といい、短期は3力月、長期は3年間を周期として考えるべきだとしている。むろん、必ずしも3月と3年というわけではないが、景気の循環と株価の波動が、ほぼそのサイクルを描くところに経験的根拠を求めている。
【 売るべし 買うべし 休むべし 】
株式投資に売りと買いのどちらかしかないと思うのは誤りで、休むことも大切な要素であると説くのが、この 「売るべし 買うべし 休むべし」 である。 「売り買い休みの三筋道」 とか 「休むも相場」 等ともいう。
とにかく株式投資で無理をすれば、必ず敗れる。何らかの制約をおしてまで株式投資をする愚は避けることだ。 「眠られぬ株は持つな」「命金には手をつけるな」 という格言もある。また 「つかぬときは止めよ」 ともいう。ウォール街にも 「疑わしいときは何もするな」 という格言がある。いずれも、そういうときは出動を取りやめて、いったん休みなさいと教えている。
- 不利運(損失勘定)のとき、売り平均買い平均(ナンピンつまり単価をならすこと)せざるものなり。思い入れ違いの節はさっそく仕舞い、四五十日休むべし。(中略)何程利運を得ても、この休むことを忘るるときは、商い仕舞いのときはきわめて損出ずると心得べし。(宗久翁秘録)
- 年中、商い手の内にあるときは利運遠し。折々仕舞いて休み見合わせ申すべきこと第一なり。(同)
- 売り買いを、せけばせくほど損をする。とんと休んで手をかえてみよ。(三猿金泉秘録) 株式相場の格言集
- 気の落ちつかぬときの商いは、十度が十度ながら損
- なりと察すべし。(相庭高下伝)
相場は明日もある
せっかちというのか、そそっかしいというのか、好材料が出現するとわれ先に飛びつき買いをする。今買わなければ、永久に買い損なうといわんばかりの風情である。しかし、相場の方は皮肉にもそれが目先の天井で翌日には安くなるといったケースが多い。材料が出たら、できるだけよく調べてから買っても決して遅くない。それが翌日だろうと何日後であろうともだ。材料が本物であって、実際に株価が上がるなら、1日ぐらいの遅れは大勢に影響ないではないか。みんなが一斉に買いついているときの相場は不自然なものである。その後に現れる相場こそ、本来の姿だ。これを待って仕掛けることが成功の道につながるといえよう。 「相場は明日もある」 とは、焦りを戒め、機会をじっくり待つことを教えた格言である。
後述のとおり、徳川時代の相場訓にも「待つ心」を説くものは多い。なお、ウォール街でも 「売り買いは3日待て」 と言っている。
- 高きをば、せかず急がず待つは仁。向かうは勇、利乗せは智の徳。(三猿金泉秘録)
- 売り買いを、せかず急がず待つは仁。とくの乗るまで待つも仁。(同)
- 買いぜきをせぬが強気の秘密なり。いつでも安き日を待って買え。(同)
- 売りぜきをせぬが弱気の秘密なり。いつでも高き日を待って売れ。(同)
- せくゆえに安きを売りて、あたまから高きを買ってからうす(反対の売買)をふむ。(同)
- 買いおくれたりと思わば、ただ買い場を待つべし。(八木虎之巻)
- 米商いは附出し(第一歩)大切なり。附出し悪しきときは、決して(必ず)手違いになるなり。また商い進み急ぐべからず。急ぐときは附出し悪しきときと同じ。(宗久翁秘録)
- 売り買いとも今日よりほか商い場なしと進み立つ(心がはやりたつ)とき、三日待つべし。(同)
- 商い急ぐべからずとは、天井値投、底値段を見ることなり。(同)
- この米ぜひぜひ上がるべし、今日中に買うべしと進み立ち候節、二日待つべし。ぜひぜひ下ぐべしと売り気進むときは、これまた二日待つべし。(同)
- 大立身を急がず待つの心を成し、おのが分際相応、気の痛みにならざるよう心がけるべし。(商家秘録)
【 株を買うより時を買え 】
大きな流れとしての“時”とは別に、特殊なケースでの“時”も見落とせない。例えばシーズンストックヘの投資。この仕込みは、当然ながら誰も注目していないオフシーズンに限る。 「麦ワラ帽は冬買え」 という格言のとおりだ。
また天災などのような突発事件に見舞われたとき、その株はたいてい売り込まれる。だが、企業基盤がしっかりしていさえすれば、短時日のうちに復旧する。そこで 「天災は買い向かえ」「突発事件は売るな」 という格言が生きてくる。
ウォール街では 「株を選ぶ前に時を選べ」 といい、わが国の古い格言にも次のものがある。
- 時のいたるに、小みちにのみ心がくれば大功をとげがたし。時のいたらざるに、大だくみにかかれば仕損じること多し。(売買出世車)
【 売りは早かれ 買いは遅かれ 】
前述の「天井三日、底百日」にもいうとおり、買い場は随所にあるが、売り場は短い。それだけに買いはじっくり構えた方がかえって安く買えることもあるが、売りの方は一瞬のチャンスをつかむがごとく迅速に行動すべし……それが 「売りは早かれ 買いは遅かれ」 の意味である。
【 売り買いは腹八分 】
前者の方は、欲の爪を伸ばしてアブハチとらずにならないように、八分目くらいで我慢しなさいというものだが、八分目といったところで実際の天井、底の値段がわかるはずはなく、要はもうそろそろと思ったところで売りまたは買う心を教えているものだ。言葉は悪いが 「アタマとシッポは呉れてやれ」 といい、骨までしゃぶろうとする愚かさを戒める格言もある。つまり、利食いで売った株は誰かが買うわけだが、その買った人にもいくらかは食べられるところを残しておけというたとえである。同じ意味の格言でキレイな表現のものもある。 「バラを切るごとく売るべし」 がそれだ。苦心して育てたバラを八分咲きで切るのは惜しい気もするが、満開になってからでは、これをもらって喜ぶ人は誰もいない。株を売るのも同様だというものである。
古い格言にも 「天井を売らず 底を買わず」 (八木虎之巻)がある。「天井売れず 底買えず」といい直した方が分かりやすいだろう。元来が無理なことをやろうとはしないで、天井や底の近辺で売りまたは買えば十分だと思いなさいというものだ。ただし、実際の天井や底を見届けてから売り買いしても、同じ八分目には違いないが、「高値おぼえ、安値おぼえ」の心に邪魔をされるおそれもあるから、この戦法をとるときには固い決心が必要となる。
同じ古い格言に 「天井を買わず 底を売らず」 (宗久翁秘録)とあり、八木虎之巻と矛盾する表現となっているが、後に該当の文章を引用してあるのでお読み願いたい。いずれにしても「腹八分」の教訓にかわりのないことがお分かりいただけよう。
一方、いまひとつの投資資金量の問題だが、これはいまさら言うまでもないだろう。無理な投資は失敗のもとである。切迫した気持ちは必ず目をくもらせる。 「ぬれ手にアワはつかめない」 。相場とはそういうものと知るべきである。株式投資は余裕資金で行うことが必須条件となる。 株式相場の格言集
ウォール街の格言にも、 「強気も弱気も株でもうけられるが、欲張りはダメ」 がある。
- わが思うところまで利分引きつけ取るべしと思うとも、七八分にて仕舞うべし。(商家秘録)
- けなり売り(他をうらやんで売ること)、けなり買い、腹立ち売り、腹立ち買い、天井を売らず、底を買わず。右六ケ条、別して第一の事に侯。(八木虎之巻) 株式相場の格言集
- 長々不手合い(損失)続き、内証に義理ある銀子入り用のとき、いつまでに何程利を得ざれば義理立たずと、日を限りて商いすること、大いに心得違いなるべし。(八木豹之巻)
- 後悔に二つあり。今五六日待つときは十分取るべき利を、勝ちを急ぎ二三分取り逃がし侯後悔、これは笑うてしまう後悔なり。また七八分利運のとき仕舞いかね候うち、引き下げ損出ずる後悔、これは苦労いたし候うえの後悔ゆえ、甚だ心気を痛むる後悔なり。(宗久翁秘録)
- 天井を買わず、底を売らず。ただし第一の心得なり。上がるときも下がるときも天井底を知らざるゆえ、この上何程上がる下がるかと、上げ留(ど)まり(騰落に限度のあること)の考えもなく買い募り売り募るゆえ、つまり損するなり。上げ過ごすときはその後決して(必ず)下がると心得べし。下がるときは決して上がると心得べし。そのとき欲を離れ思い入れを立つべし。(同)
- 勝ちに誇り、百両の利は二百両取る気になり、千両二千両の気移り、欲に迷うて見切りかね、損出ずるなり。(同)
【 見切り千両 株式相場の格言集 】
そこで 「見切り千両」 という格言が効いてくる。損には違いないが、それによって大損が避けられるのなら、千金の価値があろうというものである。
この格言ほど、分かっていて実行しにくいものはなく、したがっていろいろな言い回しがある。いわく 「損切りはすばやく」「引かれ玉は投げよ」「迷いが出たら売れ」 等々。ウォール街でもズバリ、 「損は落とせ、さらば利益は大ならん」 (Cut loss and let profit run.)と言っている。
- 何の道にも、進むと退くとが肝要なるべし。(売買出世車)
- 皆われ一心の妄想に引き回されて、思わぬ損をすることなり。(中略)見切ってしまうべきところを引きしろいて(引きのばして)大損などするごとくなれり。(同)
- 仕掛けたる米にて損を惜しみ、無理にひいきを付け、辛抱するほど大損するものなり。毎度あることなり。必ず見切るべし。過ちは改むるに憚ることなかれ。(八木虎之巻)
- 不利運のとき、見切り大切のことなり。思い入れ違うときは早仕舞い、行付をみるべし。(宗久翁秘録)
- 引かれ腰は弱く、利食い腰は強く。(八木龍之巻)
【 もうはまだなり 株式相場の格言集 まだはもうなり 】
言葉の意味は、 もう 底だと思えるようなときは、 まだ 下値があるのではないかと一応考えてみなさい。反対に、 まだ 下がるのではないかと思うときは、 もう このへんが底かもしれないと反省してみてはどうか――というものだ。
- もうはまだなり、まだはもうなりということあり。この心はたとえば、もう底にて上がるべきと進み候ときは、まだなりという心をいま一応ひかえみるべし。まだ底ならず下がるべきと思うとき、もうの心を考うべし。必ず、まだの心あるときより上がるものなり。(八木虎之巻)
- もうはまだなり、まだはもうなりということあり。ただし、数日もはや時分と思い取りかかり(仕掛ける)たるに、見計い悪しければ間違いになるなり。まだまだと見合わせ居るうちに遅るることあり。(宗久翁秘録)
【 押目待ちの押目なし 】
買おうと思うが株価は上がる一方。とはいうものの、どうせ一本調子では上がるまい。一度は下がってくるときがあるだろう。そこで買おう――というのが、押目待ち。しかし、相場の勢いが強いときには、なかなか望みどおりには下がってくれないものだ。結局 「押目待ちの押目なし」 となり、相当高くなってから買ったり、あるいはついに買いを諦めざるを得ないことになる。
その反対に、下げ相場になって売り損なった人が、少しでも高く売りたい気持ちから戻りを待つが、その期待もむなしく相場はどんどん下がり、ついに売れなかったり大底で投げる羽目に陥る。これが 「戻り待ちに戻りなし」 である。
押目と戻りについては 「初押しは買い 初戻りは売り」 という格言もある。いわば経験法則とでもいうべきものだが、どのような場合にでも必ず当てはまるとは限らない。押目と戻りの性格を的確に把握した上で、この格言を応用すべきだろう。例えば本格的な上げ相場での初押しとか、長い上げ相場に転換期がきて下げ過程に入ったときの初戻りなどには、この格言が有効となるだろう。
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大いに下がる相場は、そろそろ段々下がる(ジリ安になる)。ようやく二分ほどならでは戻らず、とかく安値にて保合い、段々と下がるなり。それゆえ弱気の人は、戻りあれば売るべしと、値を待ちて売り遅るること多し。(八木豹之巻)
【 二度に買うべし 二度に売るべし 】
自分の判断が本当に正しいかどうかは、結果を見てみなければ分からない。買ってみるか、売ってみるかして、さてどういう結果が出るか。当たりか、それともはずれか。いくら自信があっても、相場がそのとおりに動く保証はない。これまでも繰り返し述べてきたとおりである。「相場は相場に聞け」ではないが、まず相場にさぐりを入れる。つまり打診をして、自分の判断の当否を確かめてみてはどうか。その結果、予想通りであることが分かったら、そこで初めて本格出動してもまだ十分に間に合うはずだ。一度にどっと出ていって失敗することを考えれば、このくらいの手間ヒマは惜しむに価しない。いわば、石橋を叩いて渡るがごとき慎重さが、株式投資には何よりも必要となる。 「二度に買うべし、二度に売るべし」 は、その慎重さを説いた教訓である。
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