講演家としては、9年連続で、20~27以上のイベントに出演。ブラアントレーシー、マーガレットサッチャー元英国首相、ブッシュ元大統領、レーガン元大統領、シュワルツコフ将軍などと講演をともにする。国内の協会、企業、独立系セミナープロモーターなどとの現役中の契約は2000を超える。現在は講演をうけることは滅多にない。
マーケティング・コンサルタントとしては、32年のキャリアをもち、年商数千万円~数億円規模の会社から数千億円規模のクライアントを育てている。(その中の一社はニキビケアのTV通販で世界No1になりました。テレビCMで有名なプロ○クティブ)
彼の月刊ニュースレター『屁理屈なしマーケティング・ニュースレター』は現在、米国で2万人以上の会員、日本で2000人以上の会員の元に届けられている。
現在のコンサルティングフィーは1日128万円。コーチングプログラムは年間320万円。
コピーライティングプロジェクトは1000万円前後+%ロイヤリティ。(全てキャンセル待ち)2009年彼のコーチングクライアントの主催するセミナーには合計で10万人以上が出席した。起業家、マーケターにとって極めて影響力の強い人物である。
ジェイソン・マーズ マーケティングスペシャリスト。
起業家や各界のプロフェッショナルに対し、斬新な切り口で価格をはじめ数々のビジネス戦略の指導を行っている。クライアントの価格に対する恐怖心と誤った考え方を取り除くことで、本来の利益を生み、さらなる飛躍のチャンスを与えるサポートを行っている。
起業家としても知られており、ヘルスケア、教育、出版関連、コンサルティングなどの分野で大きな成功を収めている。
恐怖心と向き合う投資戦略
これは著者の言葉です。もしあなたが、自分の商品・サービスをもっと高い価格、本来の価値の分の価格で売りたいと思うなら、この本は必読です。この一冊を本棚に入れておけばいざ、商品の価格を決めるときに間違いなくあなたのビジネスにとって、とても強力な武器になることでしょう。
目次・章立て
Preface
価格、利益、力、富の関係
―この本を読めば億万長者も夢ではないワケ 恐怖心と向き合う投資戦略
ダン・ケネディ
ライバルの値下げに戦々恐々
ライバルを怖れる気持ちが大切な経営判断を鈍らせる
価格競争は勝ち目のない不毛な争い
価格、利益、力、富は正しい選択がもたらすもの
100%確実に成功する億万長者の価格戦略
Part 1
世界一ずる賢い価格戦略〈理論編)
Chapter1
価格戦略の落とし穴に落っこちるな
ダン・ケネディ
あなたは武器を持たない戦場の兵士
価格戦略は経営者の利益を生み出すツール
事業を行ううえで最大の落とし穴とは何か
最大の失敗をする人、最大の成功を手にする人
Chapter2
その値下げ、ほんとに必要?
ジェイソン・マーズ
値引きとは価値を下げること
値下げをすると、一緒に質の良くない客がついてくる
価格を下げる代わりにたくさん買ってもらう方法
「無料」との勝負に勝ち目はあるか、やっぱりないのか?
売り手が思うほど買い手は無料に価値を感じていない
無料にした商品の価値は二度と元に戻らない
経営者に必要なのは価格に真剣に向き合うこと
無料への3つの向き合い方 戦う、降伏する、逃げる
「無料」を味方にしてしまう画期的な方法
顧客との信頼関係を築く新しいマーケティングの方法
絶対にやってはいけない無料にするときの2つのタブー
Chapter3
その値下げ、見返りはある?
ダン・ケネディ
値下げや割引より特典をつける
相手からの見返りに応じてときには割引してもよい
値引きしていいとき 恐怖心と向き合う投資戦略 値引きしてはいけないとき
「お金」という商品を値引きして販売する
驚くべき事実が判明したスプリットテストの結果
Chapter4
「無料」というガン細胞
ダン・ケネディ
違法ダウンロードは当たり前
コツコツ貯めたお金で欲しいモノを買う時代
買い求めたのは自分が払えるモノだけ
カードでモノを買う時代から無料でモノをもらう時代へ
値下げプレッシャーへの免疫力をつける方法
Chapter5
さあ、無料との戦いに乗り出そう
ジェイソン・マーズ
無料ビジネスに対抗する!
試行錯誤の繰り返しで無料ビジネスを退治する
質のよいサービスを提供すれば値上げしても顧客はついてくる
「無料」にも払うべき代償、コストは存在する
見込み客の中から本当の顧客を見つける
世の中にはやっぱりタダより高いものはない!
Chapter6
「無料」で戦うときの3つのステップ
ダーリン・スピンドラー
無料でも稼ぐ仕組みづくり
無料を宣伝するために「第3の手」を使う
無料で稼ぎ出すための3つのステップ
3万人の新規顧客を獲得した常識外れの方法
Chapter7
「ありふれた考え」を捨て去ろう
ジェイソン・マーズ
なぜありふれたモノを売るのか
どこにでもある酸素が442ドルでも売れる理由
1ドルの下着と同じ素材の高級下着がなぜ売れるのか
高級品のセールス戦略と正しい価値のつけ方
コモディティ商品でも付加価値をつける方法
価格競争に敗れる者、生き残る者の境界線
なぜトイザらスが敗れ、イケアが急成長したのか
コモディティ化に対抗する零細企業はみな潰される
ウォルマートにない商揃えで生き残った鉄道模型専門店
スターバックスにはなくて高級紅茶店にはあるもの
「行き過ぎた個人主義」からの脱却を求める消費者
価値に不釣り合いな値下げは消費者への詐欺行為
Chapter8
「差別化」の持つ力
バリー・ライカ
現金払いのみでも文句を言わせない
ニーズを満たすサービスに人は喜んで大金を払う
顧客の心をつかむ方法1 ハワイの釣り人に学ぶ
顧客の心をつかむ方法2 差別化の3つのステップ
Chapter9
BtoBにおける価格戦争 ―最後に笑うのは誰?
ダン・ケネディ
BtoBビジネス最大の誤解
販路を絞ることも立派な差別化戦略
高額商品やサービスは顧客のプライドを刺激する
ライバルより倍の価格で勝負する逆転の発想
安い商品・サービスを手に取る3つの理由
億万長者だけが知っている価格競争に勝つセオリー
Chapter10
価格と製品の鎖を断ち切る
ダン・ケネディ
ブランドは価格の一部
スターバックスとそれ以外のコーヒーショップの違いは?
価格と製品の関係図はあなたの頭の中だけのもの
製品と価格の鎖を断ち切る3つの方法
消費者の期待が高ければ価格を上げても大丈夫
見た目と話し方を変えるだけで消費者は高級感を感じ取る
Chapter11
「買わずして買っている」の持つ力
ダン・ケネディ
ロールスロイスを衝動買い
高級物件が売れる地区、売れない地区のわずかな差
気持ちに訴えれば、消費者はお金に糸目をつけない
Chapter12
価格弾力性のヒミツに迫る
ディーン・キリンベック
贔屓客だけを相手にする
あなたにとって「最高の顧客」とは誰か
見込み客から成約するダイレクトメールの送り方
Chapter13
効果的な5つの価格提示メソッド
ダン・ケネディ
見た目が収入を決める?
顧客に提示する価格をコントロールする
これが、効果的な価格を提示する5つのメソッド
消費者はあなたの商品・サービスが存在する事実を知らない
セールスの方法はテレビショッピングを見習え!
Chapter14
狙うはニッチとサブカルチャー
ダン・ケネディ
誰もが持っている属性 恐怖心と向き合う投資戦略
知られざる鉱脈ニッチとサブカルチャー
価格の制約を逃れると見えない価値が生まれてくる
売り手の誠意ある行動が顧客に最大の価値をもたらす
価格を自由に設定する「流通路線戦略」
サブカルチャー向けに特化したある家具メーカーの戦略
Chapter15
「連想の原理」が成功を生む
ダン・ケネディ
価格における連想の原理
同じ品質の肉をほかより高い値段で売るステーキ屋
地域ナンバーワンになる「価格戦略」の中身
セレブをうまく利用してビジネスを拡大させる
Chapter16
不況という落とし穴から抜け出すために
ダン・ケネディ
ビジネスは価格をめぐる戦場
不況下の生き残りは価格のココで差をつける!
利益が出なければ価格競争に対抗できない
出版ビジネスで確実に利益を出すユニークな方法
純利益を稼ぎ続ける仕組みをこうしてつくる1
10%の値上げで利益を倍にする賢い方法
売上数の増加がもたらす怖い罠
少ない売上数が今と同じか今以上の利益を生む
売り手も買い手も両方喜ぶ「値引き戦略」
数字嫌いのための正しい価格設定法
Chapter17
さあ、実際に値決めをしてみよう
ジェイソン・マーズ
適正価格をつけられる人はいない!
価格設定の落とし穴 恐怖心と向き合う投資戦略 その1:思いつき
価格設定の落とし穴 その2:業界の常識
価格設定の落とし穴 その3:顧客の言い値に振り回される
価格設定の落とし穴 その4:コストプラス方式
顧客にとって売り手のコストと利益は関心外
価格設定の落とし穴その5:目標価格設定
価格設定の目的は利益を確定させること
高価格商品を提供するスキミング戦略にする
買い控えに対処するシーケンシャル・スキミング戦略
浸透価格戦略は巨大なスケールメリットを追求する
9や7のつく価格は消費者にアピールする?
Chapter18
前払い制のすすめ
ダン・ケネディ
金持ちが必ずしている習慣
金持ちは前払いで報酬を懐に入れていく
会員制ビジネスで顧客に特別な付加価値を提供する
保険証を持っているのに治療してもらえない患者たち
高額VIPカード発行で優良顧客を買い込む
Chpter19
悪徳まがいの儲け術 ―こんなのあり?
ダン・ケネディ
セルフビジネスで儲ける!
オプションの追加サービスで顧客から金を巻き上げろ!
悪徳商法と健全な商売のグレーゾーンはどこ?
通販の「送料・手数料込み」は誰の利益になっているのか
請求書には不当利益がちゃんと計上されている
Chapter20
値下げ中毒社員に気をつけろ!
ジェイソン・マーズ
社員は従順は大ウソ
頼んでもいないのに勝手に値引きしてくれるカラクリ
値下げすれば客は喜ぶと誤解している人たち
勝手に値引きする社員が利益を食い潰している!
あなたの会社から値下げ中毒を根絶する方法
利益と価格戦略を守る一番手っ取り早い方法
値下げ根絶のために残された最後の選択肢
会社の利益を守るのは経営者の一人だけ
Chapter21
誰の意見を採用する? ―価格戦略の4人の審判
ダン・ケネディ
価格戦略に影響力があるのは誰?
価格戦略の相関関係 敵は敵、味方も敵
Chapter22
不況下での価格戦略
ダン・ケネディ
不況だから値下げは大間違い
消費者の節約志向に気づいた人、気づけない人
回数を減らしても一回の外食費は逆に増えている
不況時にはそれなりの商売のやり方がある!
ニューエコノミーの時代の足音が聞こえてきた!
高額商品を買ってもらう仕組みをどうつくる?
稼ぐ気のない従業員が売り上げを逃がしている
全ビジネスマンに共通する「5つの意識」の欠如
Chapter23
効果的な広告サンプル
―マーズ夫婦に学ぶ、価格戦略の上手なアピール方法とは?
差別化を生む広告のパターン
あとがき ジェイソン・マーズ
ダン・ケネディ
著者紹介
などなど、稼げる値決めの方法を知り、あなたの商品やサービスの販売効果 を上げる秘訣がもりだくださんです。 この本を読み終わるころには、価格に対する恐怖心や身構える気持ちから解放され、 自信と価格戦略に対する正しい知識と創造性を身につけて、あなたの利益を短期間で増やすことができるでしょう。
90日間保証
連絡先:お問い合わせメールフォーム
TEL : 06 – 6268 – 0850(平日10時~17時受付)
FAX : 06 – 6268 – 0851(24時間受付)
ダン・ケネディ 全米で多くの億万長者を生み出してきて、「億万長者メーカー」と呼ばれている。彼にはいくつもの顔があり、著者としては11冊以上の本を出版、そのうち6冊は日本語版も出版されている。
講演家としては、9年連続で、20~27以上のイベントに出演。ブラアントレーシー、マーガレットサッチャー元英国首相、ブッシュ元大統領、レーガン元大統領、シュワルツコフ将軍などと講演をともにする。国内の協会、企業、独立系セミナープロモーターなどとの現役中の契約は2000を超える。現在は講演をうけることは滅多にない。
マーケティング・コンサルタントとしては、32年のキャリアをもち、年商数千万円~数億円規模の会社から数千億円規模のクライアントを育てている。(その中の一社はニキビケアのTV通販で世界No1になりました。テレビCMで有名なプロ○クティブ)
彼の月刊ニュースレター『屁理屈なしマーケティング・ニュースレター』は現在、米国で2万人以上の会員、日本で2000人以上の会員の元に届けられている。
現在のコンサルティングフィーは1日128万円。コーチングプログラムは年間320万円。
コピーライティングプロジェクトは1000万円前後+%ロイヤリティ。(全てキャンセル待ち)2009年彼のコーチングクライアントの主催するセミナーには合計で10万人以上が出席した。起業家、マーケターにとって極めて影響力の強い人物である。
ジェイソン・マーズ マーケティングスペシャリスト。
起業家や各界のプロフェッショナルに対し、斬新な切り口で価格をはじめ数々のビジネス戦略の指導を行っている。クライアントの価格に対する恐怖心と誤った考え方を取り除くことで、本来の利益を生み、さらなる飛躍のチャンスを与えるサポートを行っている。
起業家としても知られており、ヘルスケア、教育、出版関連、コンサルティングなどの分野で大きな成功を収めている。
恐怖心と向き合う投資戦略
「危ない」「難しい」「面倒」「忙しい」「医師が株なんて……」等々、あいまいなイメージや理由で株式投資を避けてはいませんか? 600万円の元手からスタートし、現在は約5億円の株式を保有するDr.Kが多忙な勤務医でも実践できるエビデンスベースドの安全な株式投資術をレクチャーします。好評書『忙しい医師でもできる Dr.Kの株式投資戦術』をマンガ化して徹底的に噛み砕き、さらにプラスαの内容も加味しました。
まえがき
第1章 基礎編
第1話 あなたにとってお金とは?
解説
医師の多くはマス層〜アッパーマス層
お金とは「道具」である
あなたにとって生きがいとは?
医師がお金を儲けるのは悪いこと?
資産運用=お金を増やすことではない
「信用」と「アービトラージ」
私が不動産よりも株式投資を選んだ理由?
私が不動産よりも株式投資を選んだ理由?
株式投資は医師に人気のある投資法である
私が投資信託や外貨預金を選ばない理由
第2話 「リスク」の意味を理解しよう
解説
目標を明確にする
そもそも株式とは
株式投資のメリット
株式投資のデメリット
医師はマネーリテラシーが恐ろしく低い
医師が株式投資する前に覚えておくべき1つのこと
「リスクゼロで資産を増やす」という考えを改める 恐怖心と向き合う投資戦略
株式投資は、ギャンブルなのか?
投資における「リスク」とは「不確実性」のこと
リスクとリターンの関係
証券口座の開設手順?
証券口座の開設手順?
証券口座を開設したら
証券会社によって違う、売買手数料
約定ごとプランの手数料比較
第3話 押さえておきたい最低限の知識
解説
日経平均株価、TOPIX とは
東証、マザーズ、JASDAQ とは
板とは
チャートとは
ローソク足とは
陽線・同事線・陰線の種類
チャートの動きは人間の心理を表す
チャートパターン
第2章 実践編
第4話 どの銘柄が良いのか見極める
解説
初心者が買うべき銘柄
ボラティリティ
バリュー投資
割安に放置された株を買う
PER 恐怖心と向き合う投資戦略 とは
PBR とは
PEG レシオとは
第5話 どんな銘柄を買えばいいの?
解説
高PER・高PBR の銘柄を避ける
危ない企業は買わない?
危ない企業は買わない?
危ない企業は買わない?
利益が伸びている企業を買う
IR が誠実な企業の株を買う
配当利回りに注目する
株主優待に注目する
ネットネット株とは
第6話 株式投資のパフォーマンスに医学の知識は関係ない?
解説
医師はバイオ株を買わないほうがよい
バイオ株での失敗談
時価総額が小さい株を買う
バリュートラップに注意する
第7話 あなたに合った投資法とは?
解説 恐怖心と向き合う投資戦略
株を買うタイミング
底を知るための定量的指標?
底を知るための定量的指標?
逆張りと順張りはどちらが正しいのか?
逆張りと順張りはどちらが正しいのか?
第8話 恐怖心と向き合う投資戦略 集中投資と分散投資のどちらがよいのか?
解説
どのくらいの金額を買うのか
分散投資が基本だが、分散しすぎはダメ?
分散投資が基本だが、分散しすぎはダメ?
今は株を買える時期なのか
第9話 投資で成功するカギは自分自身にある?
解説
狼狽こそが敵
理屈で恐怖に打ち勝つ
長期投資はローリスクではない
長期保有に向いている株とは
第10話 投資のパフォーマンス向上には強い意志が必要?
解説
プロスペクト理論とは
含み損・含み益とうまく向き合う
行動は制御できる
第11話 Buy and hold ではダメ
解説
Buy and homework
買い増し:○○ショックは天与の買場
確認すべき情報
第12話 保有している株に上手に向き合う
解説
医師が株価を確認するタイミング
悪材料と向き合う
買いは技術、売りは芸術
第13話 株の売り時って、いつ? ?
解説
相場環境がよいときに売る
短期的には急騰は一旦売るのも手
セルインメイ
売りは芸術だが技術でカバー可能
第14話 株の売り時って、いつ? ?
解説
中長期的には上昇トレンドに疑問が出たら一旦売るのも手
売らなければならないとき
第15話 戦略的に損切りを行えるようにしよう
解説
恩株を作る
医師に多い塩漬け株
含み損にどこまで耐えられるか
中小メーカー企業の中国進出タイミングと具体的な3つの対策について【中国越境EC&インバウンドで成功するブランディング術】
いざ、中国進出!変化の速い中国市場に日本企業はどう対応したらいいのか?タイミングの見極め方と具体的な対策をご紹介します!
◎中国企業の仕事のスピード感は文化の違いによるもの?
A社の失敗事例
B社の失敗事例
◎では、中小メーカー企業の戦い方とは?
<筆者プロフィール>
小林 淳(Jun Kobayashi)
株式会社アイディール代表。 世界初のモバイルメールのメディア企業、某大手電機メーカー子会社、CRM系企業の役員を経て、2007年株式会社アイディールを設立。 現在は中国に向けた越境ECを中心に、日本のメーカー企業の中国におけるブランディングやセールスを行っている。
中国に向けた越境ECプラットフォーム運営の株式会社アイディール http://ideal-inc.com/
※記事作成アシスタント:株式会社アイディール オペレーションチーム 依田有里佳
Weibo公式の中国向け広告コンテンツ拡散支援サービス「WEIQ(ウェイキュー)」は
中国向け越境ECや訪日中国人へのプロモーションに最適!
中国SNS上のインフルエンサーの影響力を活用して 恐怖心と向き合う投資戦略 広告コンテンツの拡散を強力にご支援します!
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自爆テロはなぜ頻発するのか ―イスラーム原理主義との関連から―
私は今年(2017年)3月まで(外務省所管の)独立行政法人国際交流基金に勤務し、国際文化交流事業を担当してきた。国際文化交流とは、日本が世界の国々と平和な信頼関係を築くための外交手段の一つとして行っているもので、その前提として、互いに考え方が違っていても対話すれば必ず理解し合えるという信念に基づいている。
そのような信念に基づいて30数年国際文化交流の現場を歩いてきたが、そんな私に大きなショックを与えたのが、2001年9月11日の米国同時多発テロ事件だった。この事件は、「話せば(思想・信条の違いを乗り越えて)分かり合える」というそれまでの自分の経験と確信の全てを否定されるようなショックキングなできごとだった。私の任地がインドやインドネシアという多民族・宗教国家であり、そこでの実践体験から(話し合えば)宗教の違いを超えて相互に理解できる、という確信があっただけに、なおさらショックは大きかった。
これを契機として、すさまじい憎しみ・憎悪は一体どのようなメカニズムで起きてくるのかという疑問を抱き、探求を始めたのがテロに関する研究の始まりだった。とくに宗教ナショナリズム、宗教原理主義、さらには自爆テロについて、文化交流の実務に身を置きながら考えてきた。
今回は、自爆テロの発生メカニズムおよびその背景について、そして現在世界的にイスラーム復興現象が起きている中で、テロ・リスクについてどう考えるべきか、話したい。
1.「自爆テロ」とは何か
自爆テロに関しては、米国シカゴ大学の政治学者ロバート・ペイプの先行研究がある(注)。ペイプ博士は、1980年から2009年まで世界各地で起きている自爆テロについて調べ、これらの事件に関与した460人のテロリストの履歴、社会的背景、信条などをベータベース化して分析した。それらに加えて、私自身の経験と研究を踏まえて、本稿では自爆テロについて検討する。
自爆テロについては、さまざまな論点があるので、まずそれを問題提起的に列挙してみる。
・自爆テロは、狂信的なイスラーム原理主義ゆえに起きるのか?
・自爆テロは、異なる価値観に非寛容な一神教の教えのゆえに起きるのか?
・自爆テロは、低開発国の貧困のゆえに起きるのか?
・自爆テロは、自暴自棄に陥った青年の自己破壊願望ゆえに起きるのか?
・社会のイスラーム化は、テロ・リスクを増大させるのか?
ペイプ博士は、その著書Dying to Winの中で、テロの定義と目的を次のように規定している。
<テロとは、国家以外の組織が、彼らが設定したターゲット層を攻撃、威嚇することを目的とした暴力行為である>
そしてテロの目的については、①支持者を獲得すること、②敵対者の行動を変えさせることなどがあると指摘する。
さらにテロ組織側の情勢判断に基づいて、テロを次の三つに分類する。
2001年の米国同時多発テロ事件以降、自爆テロが世界各地で頻発している。ペイプ博士の研究によれば、1980~2003年の間に世界中で350件の自爆テロ事件が発生したが、21世紀に入り自爆テロが急増し、2004~2009年までに1833件の事件が起きている。一時の小康状態を経て、2014年ごろから再び急増する傾向が顕著だ。地域的に見ると、アフガニスタン、イラク、レバノン、パレスチナ、そして欧州で多く発生している。
主なテロ組織としては、以下のようなものがある。
・「ヒズボラ」(レバノン)
・「ハマース」他(パレスチナ)
・「アルカーイダ」
・「イスラーム国」
・「タミル・イーラム解放の虎」(スリランカ)
・チェチェン武装勢力(チェチェン)
・「ボコ・ハラム」(ナイジェリア)
ここで注意すべきことがある。実は、先ほどのペイプ博士の研究によると1980~2003年までの自爆テロの件数の中で、最も多くの自爆テロを敢行したのは、イスラーム系ではなく、スリランカの「タミル・イーラム解放の虎」だった(350件中76件)。スリランカでは、多数派が仏教徒シンハラ人、少数派がヒンドゥー教徒タミル人という構成になっており、少数派のタミル人組織が政府軍に対して戦闘状態にあり自爆テロを敢行した。「タミル・イーラム解放の虎」は、世俗主義的民族主義に基づく組織である。宗派的には、彼らはヒンドゥー教徒である。
実は日本にも、ある種原理主義的な思想があった。島崎藤村の『夜明け前』を読むと、幕末の攘夷思想の中には、「太古の日本にユートピアがあった。その後、中国などから外国文化が流入することによって、日本は不純物を抱え込むようになってしまった。西洋帝国主義に戦うためには、もう一度純粋な日本に戻らなければならない」というような原理主義的思考があった。
このように<自爆テロ=一神教>という単純な図式から外れる事例がある。「自爆テロは非寛容、狂信的なイスラームの教義ゆえ」という言説への反証でもある。
2.自爆テロの背景
自爆テロを行う組織は、基本的に敵対する団体・組織と比べると大きな力の差があり弱い立場に立たされている。逆に言えば、政治的、軍事的に優位な立場にある勢力が、自爆テロを企図することはない。つまり、軍事的に圧倒的に不利な立場の側が、通常の戦闘では期待し得ない軍事的、政治的効果を得ようとして行うのが自爆テロ、ということになる。
1980~2003年の350件の自爆テロ中、その95%が明確な政治的意図を持って実行された。例を挙げると、1983年のレバノンの(イスラーム・シーア派系)ヒズボラによる米・仏軍兵舎に対する自爆テロ攻撃がある。これは、「自爆テロ攻撃は政治目的達成のための有効な手段」と認識されて、自爆テロが拡大するきっかけとなった事件といわれる。この事件では、299人の米軍・仏軍犠牲者が出て、米仏でマスコミがこぞって、海外で多数の若い犠牲者を出したことへの政府批判を強めた結果、米仏両政府はレバノンからの撤退を余儀なくされた。ヒズボラは、通常の戦闘によっては到底得られないような大きな成果(=超大国米国の政策変更という政治的勝利)を得ることができたのである。
自爆テロは、政治的な駆け引きの手段であるがゆえに、実行するタイミングも重要な要素で、政治情勢によってそのタイミングは変化する。
例えば、1994~95年にパレスチナでハマースは、ヨルダン川西岸からのイスラエル軍の撤退を要求して自爆テロを連続して仕掛けた。そして95年春から初夏のころに、イスラエルとの交渉を行っていたために、テロは一旦自粛した。しかし交渉が中断すると、自爆テロを再開した。当時、あるハマースの幹部は、「もし暴力抜きで目的が達成されるならばそうするであろう。暴力は手段であり、目的ではない」とテロが政治的判断に基づく行為であることをはっきりと語った。
また、さまざまな自爆テロ組織の政治認識の底流にある共通感情を掬いあげると、自分の国<自国>、自分の家族など愛する人々が暮らす<故郷>、宗教的な<聖地>などの領土が、外国の勢力や異教徒、もしくはそれらと結託した「売国奴」によって侵略・占領・支配されているという危機感である。そのため、「侵略者、占領者、売国奴を打倒し、駆逐する」という強い攘夷ナショナリズム感情が沸騰する。例えば、「タミル・イーラム解放の虎」は「自分の故郷がシンハラ人によって侵害されている」、ISは「イスラームの地が異教徒や米国によって支配されている」という感情が根底にある。
2000年代からの特徴として、越境自爆テロ(transnational suicide terrorism)の増加がある。「外国勢力が占領している地域」から離れた地に居住する、非占領民族・宗派の二世、三世がテロを起こすもので、「越境自爆テロ」あるいは「デアスポラ自爆テロ(diaspora suicide terrorism)」と呼んでいる。とくに2013年以降、ISに関わる自爆テロが欧米で連続して発生している。彼らは中東に住んでいるわけではなく、欧州に生まれ育った移民2世、3世であるが、「自分たちのイスラーム同胞が欧米(の軍隊)によって踏みにじられている」という、「想像の共同体」の中で醸成された一種の攘夷ナショナリズム感情が、彼らの不可解な行動の背景にあると考えられる。
ここでヒズボラ・テロリストの思想背景について見ておこう。
ヒズボラ自爆テロ組織は「ヒズブ・アッラー」(「神の党」の意)といわれ、いかにもイスラーム原理主義的な名称だ。1982年にイスラエルがPLO根拠地を叩くために南レバノンに侵攻、占領したことがきっかけとなって、彼らは自爆攻撃を開始した。「殉教」作戦と自称し、レバノン国民のナショナリズム、宗教意識を刺激した。
そのヒズボラの41人の自爆テロリストの思想背景を見ると、「イスラーム原理主義」というイメージにはそぐわない構成員になっていた。27人は共産主義・社会主義者で、3人はキリスト教徒であった。彼らの多くに共通するのは、外国によって占領されている地域から外国勢力を追い出したいという感情である。
ヒズボラのある少女自爆テロリストは、次のような遺言を残した。
「外国の占領下に置かれたわが同胞の苦境を、私は目撃してきました。今、私は澄み切った心で、私が選択した攻撃を実行に移そうとしています。私の願いはできるだけ多くのイスラエル兵を殺害することです。願わくは他の殉教者の魂と合流せんことを。
まだ私は死んでいませんが、すぐに私はあなた方の記憶のなかで生き続けることになります。どうか泣いたり悲しんだりしないでください。微笑を忘れずに幸せでいて下さい。
いま私の血を流し、私の愛によって潤わせることで、愛する祖国の大地に私は根付いていくのです」。
その文面から読みとれるのは、宗教的な心情とともに、攘夷感情、ナショナリスト感情が流れていることがわかる。
テロへの同情という社会感情は、かつて日本にも存在した。戦前の日本で「血盟団事件」「五・一五事件」などのテロ事件があった。それを実行したテロリストの青年に対して、当時の日本社会では同情論が強く、彼らの助命を求める嘆願書が裁判所に多く寄せられた。
自爆テロリストは社会から孤絶した悪意と憎悪に凝り固まった狂信的信者というイメージで語られがちだが、同胞社会の支持を確信し、社会との連帯意識を高揚させた若者という意外な素顔が浮かび上がってくる。
ペイプ博士は、自爆テロリストの内面分析に、「自暴自棄」という典型的な自殺者の像を適用するのは間違いだと主張する。
有名な社会学者デュルケムの『自殺論』に示す自殺の類型には次の四つがある。
①自己本位的自殺:自分が世界の中で孤立しているなどといった焦燥感にかられ、個人と社会の関係がうまくいかないところから自殺に至るもの。
②集団本位的自殺:自己犠牲によって社会、人々を救うという思いから自殺に走るもの。
③アノミー的自殺:社会が発展する中で、既存の価値観が崩れていく過程で、社会にしばられていた個人が自由になると同時に、それによって却って欲望が満たされないために起きる自殺。
④宿命的自殺:社会の拘束力が強いために、その抑圧の中で耐えられずに自殺に走る場合。
この4つの類型の中では、自爆テロは「集団本位的自殺」に近いと位置づけられる。つまり、社会の孤絶感、疎外感からくる絶望によって死を選ぶと説明されがちな自爆テロリストの行動について、ペイプは「多くの自爆テロは集団本位的で、利他感情が存在する」という。
自爆テロリストの多くは、彼/彼女が感情移入する社会との強い連帯感、一体感を抱いており、死と引き換えに家族や同胞が置かれた状況を改善しようと意識している。
例えば、日本の連続テロ事件であった血盟団事件(1932年)では「一人一殺」という言葉が有名だが、これは頭山満が裁判の中で唱えたもので、同事件の思想的指導者で日蓮宗僧侶の井上日召は「一殺多生」を唱え、「わが身を殺して多くの命を救う」という意味に説明した。これも集団本位的自殺の心情に近い。
もう一つのテーマに、自爆テロと貧困の問題がある。「貧困、経済的な不平等ゆえにイスラーム原理主義が蔓延する」という言説があるが、実際多くのテロ企画者やを調べてみると、その多くが高学歴、富裕層あるいは中間層出身だ。
9.11の首謀者の一人、モハマド・アタは、エジプトからドイツに留学し都市計画を勉強した。彼は故郷でも中流家庭の出身で、ドイツに行って留学した後も、それなりの人生コースを歩んでいた。また日本人犠牲者も出した2016年7月のバングラデシュの人質テロ事件のリーダー格の実行犯は、裕福な家庭の出身で、ダッカの名門高校も出ていた。
こうみてくると貧困とテロとの因果関係はあまりないと思われる。上から目線の経済援助、(米国によるイラク戦争のように)押しつけの民主化などは、むしろテロを根絶させるよりは、テロを悪化させる、予備軍を生み出すことに手を貸しているようにさえ見える。
永年、国際文化交流の実務に身を置き感じてきたことは、世界には「経済の不平等」と並んで「誇りの不平等」が存在するということだ。
欧米諸国は、知的伝統でも、経済・文化・科学技術など物質的な面でも魅力があり学ぶべき点が多い。とくに超大国米国は、軍事力・経済力によって世界を支配していると言われるが、それと並んで知的創造や思想文化での支配力が大きいと思われる。「ソフト・パワー」(ジョセフ・ナイ)によって途上国を魅了しているということだろう。しかし途上国は単純に魅了されているだけではなく、その中で米国が途上国に対する「優越感」のような傲慢を感じとっているとすると、それに対する屈辱感や反発を生む原因となるのではないか。「誇りの不平等」の問題を放置して、経済的な側面や民主化のみに気を取られていると、相手の「自尊心」を傷つけ、却って事態の悪化を招くことに繋がるのではないか。このような「誇りの不平等」が世界に潜んでいるのではないかと考える。
元駐パキスタン米国大使のアクバル・アーメッド(Akbar S. Ahmed)アメリカン大学教授は、9.11以降のイスラーム世界が抱いている閉塞感について、その著書の中で次のように述べている。
「クルアーンは暴力を説いているのだろうか。イスラーム教徒はユダヤ教徒、キリスト教徒を憎悪しているのだろうか。・・・世界宗教が抱いてきた平和と愛のメッセージは、なぜ怒りと憎悪の喧騒に失われてしまったのだろうか。グローバルな開発の攻撃に直面して、地域文化はいかにしてアイデンティティと誇りを保ち得るのだろうか。誇りの喪失は、集団に対する忠誠や社会の拘束力が失われた結果ゆえなのだろうか」(Islam Under Siege: Living Dangerously in a Post-Honor World、 2003)
ここから見えてくるのは、アイデンティティの喪失とテロとの相関関係である。同教授は、さらに次のように説明する。
従来の社会を支えてきた地縁、血縁、共同体に対する忠誠心、連帯感、一体感が、近代化、国民国家建設、グローバリゼーションに伴う社会の構造変化の中で解体されつつある。そうした状況の中にあって浮遊するアイデンティティが糾合され、過剰で誇張された共同体意識、連帯意識が他者に対する暴力を通じて形成される。実体の伴わないあいまいな「誇り」が、人々のアイデンティティ喪失感を埋める形で形成され、これが暴力へ向わせる危険な状態を生んでいる。
同教授は、そうした社会を「尊厳変質社会」と呼んだ。現在グローバルに起きている自爆テロの問題を考えるときに、こうした社会構造の変化と個人の意識、アイデンティティの関係は重要なポイントだと思う。
3.イスラーム復興現象とテロ・リスク
2016年1月14日、インドネシアの首都ジャカルタの、日本大使館・日本人会の近くで「ジャカルタ連続爆弾テロ事件」が発生した。民間人4人の死亡と20人以上の負傷者が出た。これについては、現在収監中の過激思想家が指導する国内過激グループによるテロと見られている。
この事件の背景には、シリアに渡ったインドネシア人IS参加者が、三つのグループに分かれて反目しており、それぞれが「実績」を挙げるために、東南アジアのISシンパにテロ実行を呼びかけていることがあった。2016年初頭時点でインドネシアからは500人強が中東に渡り、IS戦闘員になっているといわれた。イスラーム国家樹立を目指す、ごく少数の過激集団は独立以来、当局の取り締まりにかかわらず間欠泉的にテロを繰り返してきた。
現在インドネシア政府はさまざまなテロ対策を実施している。
まずハード面を見てみる。バリにおける大規模爆弾テロ事件を契機に、2002年10月19日に「テロ犯罪撲滅に関する法律に代わる政令」が制定施行され、2003年3月に法律化された。またインドネシア国家警察は、対テロ特殊部隊(デンスス88)を創設した(2003年6月)。
ユドヨノ大統領は、こうした実行部隊を使って本格的なテロの取り締まりを実行した。特殊部隊によるテロ組織拠点の急襲作戦は、司令塔を潰すことのよって組織の弱体化に成果を挙げた。その結果、2009年7月のジャカルタ爆弾事件以降、2016年1月のジャカルタ連続爆弾テロ事件まで大規模なテロ事件は発生していなかった。
次にソフト面の対策を見てみる。
その重要な一つが、「脱過激化プログラム(De-radicalization)」だ。刑務所収容中に、過激なイスラーム主義思想を除去して、元テロ実行犯受刑者を悔悛させ、寛容なイスラーム理解を彼らの精神の中に移植するというものだ。過激なイスラーム主義組織幹部の検挙により、多数のテロリストが刑務所で服役することになったために、「脱過激化プログラム」の必要性が高まった。
インドネシア司法省管轄の400ある刑務所のうち、過激イスラーム主義者を収容する特別な態勢が組まれているのは20刑務所である。「脱過激化プログラム」の手法は次のとおりである。
1 看守が受刑者個人との信頼関係を築き、彼らの人間性を回復させる働きかけをする。
2 受刑者に対して宗教的、心理的カウンセリングを施すプログラムを実施。
3 社会復帰に向けて有益な技術を受刑者が学ぶ職業訓練を行う。
ただし、看守など専門人材の不足、施設設備の劣悪さゆえに「脱過激化プログラム」は必ずしも所期の成果を挙げているとはいえない。しかしその試行錯誤から学ぶことは多い。
イスラームの信仰をやめて改宗ように説得したり、一方的に説教するようなやり方は、却って受刑者をかたくなにさせることが多い。そこでイスラームの中でも攻撃的ではない別の穏健な解釈を教えるという方法が、有効である。よい効果を上げている例もある。この観点からは、宗教者の役割が重要だ。元テロリストの先輩体験談も効果がある。
さらに付け加えれば、日本におけるオウム真理教テロ事件の実行犯に対する更正プログラムの実施結果を国際的に共有する試みはに関する研究は、国際的なテロ対策に対する日本としての学術、国際貢献になり得るのではないかと考えている。
次に、ある暴力的なイスラーム国家樹立運動に奔った青年のかいま見てみよう(市民組織「脱過激化と知識のためのインドネシア・センター」HPには、元テロリストが、なぜ自分がテロに奔ったのか、率直な感情発露をしている)。
・ギャンブル、アルコール、ドラッグなどにおぼれ自堕落な生活を送っていた自分に、「良きイスラーム教徒であれ」という青年イスラーム運動の勧誘を受けたのが、自分を変えようとするきっかけとなった。
・当時、軍部独裁体制であった世俗主義的スハルト政権が「良きイスラーム教徒」たちを弾圧しているという政治認識を抱いた。
・インドネシアの国是「パンチャシラ」に、イスラームが固く禁じている偶像崇拝の匂いを感じ取った。
・多くの「良きイスラーム教徒」たちが貧困に苦しんでいるのに、貧富格差、権力者の汚職がまかり通っていることに憤りを感じた。
・非合法活動の中で同志たちは、固い友情によって結ばれているという連帯感を感じた。
インドネシアのイスラームは、穏健で寛容なイスラームだといわれる。その理由の一つは、武力ではなく平和裏に伝播し、他の宗教とも長く共存してきた、というインドネシアの歴史的な経緯がある。ところが、近年、多数派イスラームによる「少数派」への宗教的非寛容さが増大している。
例えば、女性や性同一性障害・同性愛者に対する差別やハラスメント、キリスト教や仏教等少数派宗派に対する圧力・ハラスメント、同じイスラーム内でも異端視されるシーア派、アハマディア派などに対する嫌がらせ・攻撃などである。
ユトレヒト大学のマルティン・ファン・ブリュネッセン教授は、退潮に転じたインドネシア・イスラームの寛容性について次のように説明する。
スハルト時代(1965-1998年)は、政府が世俗近代化を推進し、イスラームの主流をなしたのはリベラル・寛容・開放的な言説だった。その後、改革時代(1998-2005年)になると、民主化が進行し、寛容派、厳格派入り乱れた議論が展開した。そして2005年ごろから有力イスラーム組織指導者で寛容派勢力が弱まり、代わって厳格な解釈をする勢力が優勢になってきた。
最近の例としては、2016年11月に、ジャカルタ特別州アホック知事(当時)がイスラームを冒涜する発言をした、とイスラーム強硬派が主張し、彼らによって5万人に上るデモが行われた。その後、当初は再選間違いなしと言われていたアホック氏が知事選挙で落選し、その後宗教侮辱罪に問われて収監されてしまった。
また人権組織「スタラ・インスティテュート」によると、2012年にインドネシア全土で371件の宗教・信仰の自由に対する侵害行為が発生し、近年その増加傾向が見られるという。
なぜ、寛容の危機が起きているのか。その理由については、次のような指摘がある。
・イスラームをコントロールできない軟弱な民主政治ゆえ
・世俗権力=政治がイスラームを悪用するから
・グローバリゼーションに伴う海外イスラーム潮流の影響
(イスラーム過激思想の流入、イスラームの厳格な解釈をするサウジアラビアなどからの資金の流入によるモスクの建設など)
・スハルト・ノスタルジー(?)
(民主主義社会になると政治的意思決定がなかなか遅々として進まないことへのいらだち、スハルト時代の強権政治による「果断」な意思決定への郷愁)
インドネシアは世界最大のイスラーム人口大国で、国民の約9割がイスラーム教徒だ(キリスト教徒9.3%、ヒンドゥー教徒1.8%、仏教徒0.6%)。このようなイスラームが大多数を占める国において「イスラーム化」とは何を指すのか。
そもそもイスラーム教徒といってもさほど教えを自覚してこなかった人々が、イスラームの価値観を善きものとして再認識し、日常生活の中で戒律守り敬虔なイスラーム教徒として生きていこうという意識変化とそれに伴う社会変動を、「イスラーム化」と呼んでいる。とくに都市部の中間層、知識人の中でそれが顕著になっている。
1980年代のインドネシアでは、女性でベールをかぶっている人は余り見られなかったが、その後、近年ではベールをかぶる女性がかなり増え、公共の場でアルコールを飲む市民の数も減ってきた。かつて近代化すると合理的、科学的思考をするようになるので宗教は個人的領域にとどまり、公共領域での存在は見えにくくなり、政教分離の社会になると考えられたが、「イスラーム化」現象は、この近代化理論に合わない。
ところで、多宗教国家インドネシアの建国五原則である「パンチャシラ」は、
1 唯一神の信仰
2 公正で文化的な人道主義
3 インドネシアの統一
4 合議制と代議制における英知に導かれた民主主義
5 全インドネシア国民に対する社会的公正
で、その第一番目に「唯一神の信仰」が置かれているが、「イスラーム」とは書かれていない。これは建国当時、イスラームを国教にしようという勢力と世俗主義勢力との間の妥協の産物として生まれたものだ。
また憲法29条には、
第1項 国家の基礎となるのは「唯一神への信仰」
第2項 国家は、すべての国民の信仰の自由を保障し、その宗教および信仰にしたがって宗教活動を行う自由を保障する。
いかなる宗教を信仰するのも自由であり、イスラームを国教とする規定はない。
これらに不満を抱き、インドネシアにイスラーム国家を樹立しようと考える人たちは、当時から現代に至るまで少数派異議申し立て勢力として存在している。
いかなる宗教を信仰するのも自由であり、イスラームを国教とする規定はない。
なおインドネシアでは、無宗教を認めていない。というのは日本とは「宗教」に関する理解の仕方が違っていて、宗教を持たない人間は道徳性に欠ける、と考えているふしがある。この点は日本の一般的な「宗教」理解とはだいぶ違う。
③人権・福祉・農村開発・防災などの分野でイスラーム系市民組織が活躍 恐怖心と向き合う投資戦略
ワヒド大統領の長女が人権シンクタンクWahid Instituteを立ち上げたほか、イスラーム防災学生ボランティア組織(例:KORSA)もある。また、テロに走った人々を過激思想から復帰させるべく、穏健な解釈のイスラームを教義を教える青年たちの試みも行われている。
近年のインドネシアの政治において、イスラームに関連して以下のような傾向が見られる。
①政治言説におけるイスラーム価値観の争奪戦
②イスラーム主義過激組織の浸透、テロリズム
③イスラーム外交の推進
さいごに
イスラーム内部には、ISに代表される過激思想の集団だけではなく、インドネシア・イスラーム主流に見られるような穏健なイスラーム勢力もあり、その二つの間でせめぎあいが繰り広げられているのが現在の世界ではないか。日本とつながりの深い東南アジアのイスラーム世界が、非寛容なイスラームに傾いていくと、日本にとって「危機」として迫ってくる可能性はある。イスラームの多様性を認めつつ、穏健なイスラームを支援していくことが重要であろう。
これまで見てきたように、経済発展や民主化によりインドネシアのイスラーム教徒は、自信を深めるとともに、他のイスラーム諸国への発信や援助に積極的になってきた。そこで日本としては、インドネシアと協力して、中央アジアや中東地域、アフリカなどのその他のイスラーム諸国に対する開発支援を行うという多国間の開発プログラムを推進するのも一案である。穏健なイスラームの対外発信を日本として支援していくことは一つの国際貢献といえる。
もうひとつは、イスラームについて日本人自身がもっと理解する努力をする必要があると思う。親日的なインドネシアであるが、世界的にイスラームに対する嫌悪感情が高まる中、「日本は多神教だから寛容、イスラームは一神教だから非寛容」といった不用意なイスラーム批判をすると、彼らの自尊心を傷つけることになる。そうなれば反日感情へとつながっていきかねない。日本人ももっとイスラームの多様性に対する理解を深めるとともに、イスラームとの交流を活発化させることが重要、と認識している。
外務省は、インドネシアのプサントレンの校長先生を日本に招き交流を進めている。この事業は、プラントレンの校長先生に日本理解を深めてもらうと同時に、日本の普通の人々にもイスラームを肌で理解してもらうきっかけになっている。こういうプログラムを飛躍的に拡大させていくことも大切だ。
インドネシアのイスラーム教徒は非常に親日的だ。日本はイスラームと関係ない社会のようだが、実は彼らの目から見ると、イスラーム的価値観が実現している国とも見えるようだ。例えば、清潔な国、大震災のときに他人を助けて秩序だって並ぶ姿勢などは、イスラームの価値観とも共通するものとして認識されている。中には「日本の社会生活は、これまで訪問した中東の国と比べても、最もイスラーム的な価値観を映し出していた」と共感する人もいる。そうした経験をきっかけに日本との交流を深めたいという人々が少なくない。
日本が、世界最大のイスラーム大国インドネシアとの友好関係を深めるのは、穏健イスラームを支援する上でも意味がある。より一層の文化交流や国際協力がなされていくことを願うものである。
1)Robert Pape、 恐怖心と向き合う投資戦略 Dying to Win、 The University of Chicago Press、 2005
2)Robert Pape & James Feldman、 Cutting the Fuse、 The University of Chicago Press、 2010
3)小川忠『テロと救済の原理主義』新潮社、2008年
4)小川忠『インドネシア イスラーム大国の変貌』新潮社、2016年
1959年神戸市生まれ。早稲田大学教育学部卒。2012年同大学大学院アジア太平洋研究科博士号(学術)取得。82年国際交流基金に入社。ニューデリー事務所長、日米センター事務局長、東南アジア総局長兼ジャカルタ日本文化センター所長、同企画部長などを経て、2017年3月に退職。同年4月から跡見学園女子大学教授。主な著書に『ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭 軋むインド』(2000年第12回アジア・太平洋賞特別賞受賞)『インドネシア 多民族国家の模索』『インド 多様性大国の最新事情』『原理主義とは何か アメリカ、中東から日本まで』『テロと救済の原理主義』『戦後米国の沖縄文化戦略』『インドネシア イスラーム大国の変貌:躍進がもたらす新たな危機』ほか。
オバマ政権に日本はどう向き合うべきか
2009年1月20日、バラク・フセイン・オバマがアメリカ合衆国の第44代大統領に就任した。黒人(ケニア人)と白人を両親にもつ人種の多様性、ハワイに生まれ、ムスリムの父をもち、インドネシアで過ごしたという文化の多様性、そして、エリートでありながら社会的弱者の側に立ってきた社会階層の多様性――オバマは三つの多様性を体現する魅力的な政治家である。さらに、彼の雄弁は人々の心にこだまし、第二のリンカーン、第二のケネディ、第二のフランクリン・ローズヴェルトとさえ呼ばれている。
しかも、オバマ大統領はユニークな背景と卓絶した雄弁のみならず、したたかな政治的感覚をも有している。かつての政敵ヒラリー・クリントンを国務長官に起用し、ジョージ・W・ブッシュ前政権からロバート・ゲーツ国防長官を留任させた人事は、しばしば「チーム・オブ・ライバルズ」と称される。さらに、中国系のスティーブン・チュー(ノーベル物理学賞受賞者)がエネルギー省長官に、そして、日系のエリック・シンセキが復員軍人省長官に起用されている。前者はこのエネルギー政策の重視と中国の協力確保へのメッセージであり、後者で大統領は軍部の心をつかみ、前政権のイラク政策批判を象徴させている。シンセキはこの戦争をめぐってドナルド・ラムズフェルド国防長官(当時)と対立し、更迭(こうてつ)された陸軍参謀総長だったからである。
確かに、初の黒人大統領の登場はそれ自体で歴史的意義を有するが、オバマは2004年に連邦議会上院に初当選した人物であり、国政経験わずか4年の政治家であった。必要性があれば、有能な人物を経歴や年齢のいかんを問わず起用するというアメリカ政治のダイナミクスから、われわれが学ぶべき点は多かろう。
オバマ政権にとって、当面の最大課題は金融危機への対処である。すでにオバマ大統領は、アメリカの産業構造を環境重視に転換させながら大規模な公共事業投資をおこなう「 グリーン・ニューディール 」構想を発表している。だが、「100年に一度」と称される今回の危機に、即効的な対処は期待できない。4年の任期のうち後半に景気を回復させ、人々に自信を回復させることができるかどうかが、オバマ再選の鍵であろう。
したがって、オバマ政権が外交に割ける時間と労力は限定されている。その中では、アフガニスタンの治安維持と経済復興の優先順位が高い。イラクからアメリカ軍が撤収される分、アフガニスタンにはアメリカ軍が増強されている。アフガニスタンの治安と経済状況は、イラク以上に深刻である。隣国パキスタンの政情不安も危惧(きぐ)される。こうした中で、日本は自衛隊による輸送支援を提供できるか。あるいは、アフガニスタン復興支援のために、さらなる財政負担に応じられるか。オバマ政権下での日米関係の最初の試金石であろう。
また、北朝鮮問題でオバマ政権が一層交渉重視に傾斜し、拉致問題が相対化される可能性もある。そうなると、日本の世論には、アフガニスタンのようなグローバルな問題ではアメリカの世界戦略に巻き込まれ、北朝鮮のような北東アジア地域の問題ではアメリカに見捨てられるという「二重の恐怖」が発生するかもしれない。さらに、沖縄での米軍再編の遅延も、日米同盟関係の信頼性を傷つけることになりかねない。
他方で、地球環境問題やエネルギー問題、さらに核軍縮などのイシューでは、オバマ政権はブッシュ前政権よりもはるかに熱心である。これらのイシューでは日米協力、さらには、日米中の協力が大いに可能であり、また、必要である。とりわけ、核軍縮では、「唯一の被爆国」としての日本の従来の政策に、アメリカが歩み寄ることにもなろう。中国や北朝鮮に対するアメリカの「核の傘」の信憑性が損なわれてはならないが、オバマ大統領の広島訪問や、そこでの大胆な核軍縮提案は、あながち夢ではあるまい。
2月16日に、ヒラリー・クリントン国務長官が、最初の外遊先として日本を訪問した。これは日米同盟重視の政治的メッセージである。また、2月24日に日米首脳会談が予定されている。日米両国政府の首脳や外交責任者が早期に会談して信頼関係を樹立することは、きわめて重要である。国際的に著名なジョセフ・ナイ博士(ハーバード大学教授)の駐日大使起用(内定)も、日米関係の信頼性の維持と強化につながろう。
しかし、最も重要なのは日本の政治的安定である。来るべき衆議院の解散・総選挙ののちに政界再編がおこるのか。そして、激動する国際情勢のなかで、日本は国際的責務を果たしていけるのか。それらの問いに対して、アメリカ同様に“Yes, We Can”と言えるかどうか。日本の民主主義の真価が問われようとしている。
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