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キャッシュフロー計算書(C/F)とは

キャッシュフロー計算書(C/F)とは

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推定キャッシュフロー計算書~報告書の読み解き方-29~

「最後はキャッシュフローですね。ここは3ページ・・・ありますね。キャッシュフローの考え方自体は先日教わりましたが、普段は最後の分析表しか見てないですね・・・」と青山が少しバツの悪そうな顔をしたが、小滝は興味津々という顔をしている。
「財務諸表分析表と同じで、分析表から入るというのは手順としてよろしいかと思います。1ページ目はキャッシュフロー計算書そのもので、数字も多いですから。分析表ではどこをご覧になっていますか?」
「上司に教わったとおり、まずは『推移分析』のところの営業CF・投資CF・財務CFの内訳を見ています。営業CFがマイナスの場合は要注意、ということですよね」
「そうですね。本業の営業活動でお金が減っていく状態なので、2期以上続くようだと危険信号と言われます。そのページの下の分析比率のところの『営業収支比率』と『経常収支比率』が100%を割り込んでいることも、同じようにキャッシュの不足が生じる状態を示しています。営業収支と経常収支の内訳は、その前のページの『経常収支の内訳表』をご覧いただけばわかる形になっています」
「ここの営業収支と経常収支の違いというのは、損益計算書の営業利益と経常利益の違いとイメージしておけばいいんですよね?」
「そうです。営業収支に営業外収支を加減したものが経常収支ですから。ということは、営業収支がプラスで経常収支がマイナスというのは、どういう状態だかおわかりですか?」と、小滝が青山に質問を投げると、リラックスしていた青山は不意打ちを食ったような顔をしながら答えた。
「えっと、営業外の収支が悪いということだから、焦付があるとか為替差損が出ているとか、そういうこと?」
「そうですね。そういうこともありますが、多いのは借入が多くて支払利息で赤字になっているケースだと思います。逆に、営業収支がマイナスで預金利息によって経常収支がプラスという会社はほとんどありません」
小滝は笑顔だが、油断は禁物である。青山の顔が引き締まった。 「営業CF・投資CF・財務CFの内訳を見ようと思ったら、1ページ目の『推定キャッシュフロー計算書』を見ればよいわけですね」
「そうです。ちなみに青山さんは有価証券報告書に付いているCF計算書と弊社のCF計算書、何が違うかご存知ですか?」と、小滝がいたずらっぽい顔をして質問を畳みかけてきた。
「えっ?上場企業の審査はあまりやらないので・・・有価証券報告書もあまり見たことがないですが・・・TDBのは決算書からの逆算、有価証券報告書のは当然自社で作成しているわけですよね」と、うろたえた青山に、小滝がやさしく答えた。
「そうですねそれは大前提です。TDBでは『推定キャッシュフロー計算書』としているように、入手した貸借対照表や損益計算書から推定して作成します。したがって、財務諸表を2期以上連続して入手した場合のみ、分析表を作成できます。他に何かありませんか?」
「いや・・・他には・・・」と窮地の顔をした青山には、小滝の目線が一瞬上から射るように見えた。
「こたえは、弊社では単体で作成していますが、有価証券報告書では基本的に連結ベースで作成されている、ということです」と言う小滝に、 (何だ、そこか・・・)と青山は相手のペースに乗った自分を悔いた。

まずは本業でキャッシュを稼げているか

ご存知のように、貸借対照表や損益計算書は「現金の収支」を表現していません。100万円の売上があっても、売掛金になっている間は、現金は増えません。また費用についても、減価償却費のようにその期に実際の現金支出がない費用もあります。
したがって、貸借対照表の現金預金が前期に比べて増えた・減った原因を詳らかにするために「キャッシュフロー計算書」があります。キャッシュフロー計算書ではキャッシュフロー(現金の動き)を「営業」「投資」「財務」の3つに分け、「営業」は本業の営業活動による現金の増減、「投資」は設備投資や資産売却などに伴う原因の増減、「財務」は銀行借入とその返済による現金の増減を示しています。
ここでのキーポイントは、「営業CF」です。「営業CF」がマイナスという状態は、営業活動の結果、現金が減っていく、つまり事業をやめたほうがよいという異常な状態を指します。こういう状態が続くと企業は借入を増やしたり(=財務CF)、資産を売却したり(=投資CF)して、足りない現金を補填することになります。そして銀行が貸してくれなくなり、売るべき資産も尽きると、会社は倒産に至るのです。

営業CFの動きは財務分析と関連

資金調達余力の参考指標も

なおキャッシュフロー分析には、「ICRbyCF」(Interest Coverage Ratio by Cash Flow)という指標も掲載しています。これは営業CFに支払利息・割引料を足したものを支払利息・割引料で割ったもので、倍率が高いほど借入余力がある(営業CFで支払利息等をカバーできる)ことを示す指標です。
また「有利子負債返済能力」は、「有利子負債をフリーキャッシュフローによって何年で返済できるか」を示すものです。フリーキャッシュフローは営業CFと投資CFの合計で、年数が少ないほど借入負担が軽くなりますが、逆に50年や100年と表示されている場合、それがすぐに倒産に直結するわけではありません。年数が長い場合は、借入の中身や金融機関の支援姿勢を確認しましょう。

営業・財務・投資を8分で理解するキャッシュフロー計算書の見方

固定資産とは、会社が複数年にわたって所有・使用する資産になる対象物のことです。

固定資産には、有形固定資産と無形固定資産の2種類があります。

有形固定資産は、不動産、車、機械、土地、建物など形があるもので、無形固定資産は、営業権、特許権、ソフトウェア、各種利用許諾件などの形がないものです。

固定資産の反対は流動資産と言い、現金、有価証券、債権、原材料、商品など一時的に企業が所有、または1年以内に現金化できる資産のことです。

参考:
減価償却はなぜ必要?固定資産、会計処理等の考え方

投資キャッシュフローの要素

—–
・固定資産の取得による支出
・固定資産の売却による収入
・有価証券の取得による支出
・有価証券の売却による収入
・貸付けによる支出
・貸付金の回収による収入
など
—–

投資キャッシュフローが良い状態とは

投資キャッシュフロー

キャッシュフロー計算書の見方まとめ

フリーキャッシュフローとは、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足したものです。

キャッシュフロー計算書(C/F)とは

フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー

つまり、以下のキャッシュを表しています。

「販売や仕入などの営業活動をして手元に残ったキャッシュから、事業継続に必要な設備費用を支払ったキャッシュの残り」

フリーキャッシュフローは借入などの財務活動で得たキャッシュを含まないため、その会社が純粋な営業活動でキャッシュをどれだけ作ることができるかという能力を測る指標だと言えます。

参考:
会社経営の健全性を測るフリーキャッシュフローとは

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キャッシュ・フロー計算書とは

武田 守 武田公認会計士事務所

  1. 3つの区分でキャッシュの流れを見る
  2. 従来の財務諸表との関係
  3. 直接法によるキャッシュ・フロー計算書の読み方
  4. 間接法によるキャッシュ・フロー計算書の読み方

3つの区分でキャッシュの流れを見る

従来の財務諸表との関係

貸借対照表は、企業の決算時点での財政状態、つまり、資金をどこから調達して、どのように運用しているかを表わしている決算書です。
損益計算書は、会社の一会計期間の損益を各段階ごとに表示して、最終的に「当期純利益」がどのような過程を経て生み出されたのか表わしている決算書です。
この「当期純利益」は、費用、収益とも現金主義により計上されているのではなく、費用は発生主義により、収益は実現主義により計上されています。損益計算書上の「当期純利益」は、実際にその会社がその期に獲得した現金(キャッシュ)とは異なっているわけです。

直接法によるキャッシュ・フロー計算書の読み方

キャッシュ・フロー計算書には、直接法によるキャッシュ・フロー計算書と間接法によるキャッシュ・フロー計算書の2つの種類があります。
直接法によるキャッシュ・フロー計算書とは、営業活動によるキャッシュ・フローを営業収入、仕入支出など重要な取引ごとに総額でまとめた計算書です。
まず、営業活動によるキャッシュ・フローです。営業収入は、損益計算書の売上高に、売掛金・受取手形の純増減額を加減算して、売上による入金額を算出します。仕入支出は、売上原価に買掛金・支払手形の純増減額と棚卸資産の純増減額を加減算して、仕入商品代金の支出高を算出します。人件費支出などは、損益計算書の販売費及び一般管理費の中に含まれている人件費関連の支出額から求めます。

3つのキャッシュ・フローからわかること

  • どれだけの資金が営業活動によって獲得されたか
  • その資金で新規投資・営業能力維持のための追加投資を賄えるか
  • 外部からの資金調達なしで借入金の返済・配当金の支払が可能か
  • 将来の利益やキャッシュ・フローを生み出すための投資は十分か
  • 資産の売却の内容・価格等は適切か
  • 投資活動が財務状態に及ぼす影響などの評価
  • 営業活動と投資活動によって生じた資金の過不足が、どのように調達されたか

間接法によるキャッシュ・フロー計算書の読み方

間接法によるキャッシュ・フロー計算書は、営業活動によるキャッシュ・フローを損益計算書の税引前当期純利益から逆に計算する方法により、キャッシュ・フロー収支の状況をとらえた計算書です。実際に企業が使うキャッシュ・フロー計算書としては、こちらの方がポピュラーです。
間接法による営業キャッシュ・フローは、税引前当期純利益からスタートします。つまり、実現主義によって算出された税引前当期純利益に相当するキャッシュがいったん入金したと考えます。次に、実現主義と現金主義との違いをプラスマイナスして、現金ベースの「営業活動によるキャッシュ・フロー」を算出していくわけです。
なお、直接法と間接法の違いは、「営業活動によるキャッシュ・フロー」だけで、「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」については、まったく同じです。

キャッシュフロー計算書(C/F)とは

英語では Cash Flow Statement ということから、C/Fと表記されることが多いです。

営業活動によるキャッシュフロー

営業CFはまずプラスであることが重要であり、 プラスが大きければ大きいほど良い とされます。

投資活動によるキャッシュフロー

投資CFは、 マイナスの方が望ましい です。

これから成長していく企業は設備投資に積極的にお金を使っていくはずなので、必然的に投資CFはマイナスになるはずだからです。

「投資有価証券を売って利益を得た」だけなら問題ないですが、「主力事業に関わる固定資産を売却した」と聞くと「何か問題があったのかな?」と不安になりますよね。

財務活動によるキャッシュフロー

基本的には借金返済を進めたり配当支払いをする余裕がある企業の方が安心ですから、財務CFは マイナスの方が望ましい と言えます。

キャッシュフローから分かる会社の8タイプ

キャッシュフロー計算書は「営業・投資・財務」の3つのキャッシュフローがプラスなのかマイナスなのかを見るだけで、会社の大まかな全体像を把握できるという特徴があります。

【エクセル解説】会社の設立(1/23) 財務三表(キャッシュフローの計算書)の基礎がわかる!

図解財務3表(13/23):営業用車両を購入
図解財務3表(14/23):銀行から資金調達(設備資金)
図解財務3表(15/23):店舗を購入
図解財務3表(16/23):取引先への貸付
図解財務3表(17/23):銀行へ短期借入金を返済
図解財務3表(18/23):貸付金の利息の受取
図解財務3表(19/23):役員報酬の支払
図解財務3表(20/23):預り金(役員報酬分)の支払
図解財務3表(21/23):減価償却費と繰延資産償却の計上(決算整理)
図解財務3表(22/23):法人税を計上(決算整理)
図解財務3表(23/23):法人税を支払い(翌期)

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